Nap,The ザ・ナップ(上演終了)

Nap,The
ザ・ナップ(上演終了)

演劇 ブロードウェイ
Nap,The
ザ・ナップ(上演終了)
Nap,The ザ・ナップ(上演終了)

『The Nap』(意味:Napとは、「昼寝」という意味も持つが、ここではスヌーカーのテーブルの上に敷かれている緑の布のことを指す。) スヌーカー(英国版のビリヤードの様なもの) の若手スターが犯罪に巻き込まれていく様子をスリリングに描いたコメディー作品。

あらすじ&コメント

リチャード・ビーン/Richard Beanは戯曲『One Man, Two Guvnors』で知られる様になったイギリスの劇作家だが、この作品はかなりアイルランド訛りが強い英語で演じられるので、アメリカ人にとってもわかりにくく、観に行くならあらすじを把握してから行かれることをお勧めする。演出家はダニエル・サリバン/Daniel Sullivan。『プルーフ/証明』でトニー賞演出賞を受賞。装置のデイビッド・ロックウェル/ David Rockwell はミュージカル『シー・ラヴズ・ミー/She Loves Me』(リバイバル 2016)でトニー賞の装置デザイン賞を受賞している。

貧しい中、父の男手一つで育てられたディランは、最近急速に力をつけてきたスヌーカーの若手スターだ。昔、母親は夫と息子を置いて出て行ったが、今では彼女は彼らのところにたまにお金を乞いに来る。 ディランは選手権大会を直近に控え、父親が裏庭に立てたスヌーカーの部屋で練習をしているが、国際スポーツ治安協会のコンプライアンス部の調査員と名乗る男女(モハメッドとエレノア)が訪れてくる。ディランが国際的に大金が動く八百長に関わっている疑いがあるというのだ。全く身に覚えがないので否定するディラン。しかし調査員が去っていった後、夫と息子を置いて出て行った彼の母親が恋人と一緒にやって来て、この八百長には母親、そして彼のスポンサーのワキシーも深く関係していることを知ることとなり悩む。ワキシーは母親の昔の恋人で、今は性転換をして女性になっているが、今までディランの教育費や養育費の援助をしてきたため彼にとっては家族のような存在だった。ディランはワキシーに会いに行くが、母親はワキシーに攫われて囚われの身となっていて、彼の目の前でワキシーは母親の恋人をいとも簡単に銃殺してしまう。そして「初戦に負けないと、母親も同じ様に殺す」とディランに告げる。ディランは誰を頼っていいかわからない内に、不正取引に無理やり巻き込まれていくが、彼女を助けようとする調査員のエレノアに恋をする。しかし実はワキシーを筆頭に、調査員のエレノアもモハメッドも、そして母親と母親の恋人も全員が詐欺師で、グルになってディランの名声を利用して一儲けするために大芝居を仕掛けていたことが明らかになる。事情を知らないディランは初戦で負け、その試合に賭けた詐欺師達は大金を手にする。その後ディランは勝ち抜いて、決勝戦の舞台では優勝。そして授賞式で多額の大金を勝ち取る。そこに危険を冒して現れたのはエレノア。ディランを本気で愛していると告白する。

スヌーカーのテーブルの上のプレイの様子は、観客からは見えないので、舞台の背景にモニターに生でプレイの様子が映し出される。生なのでどちらかが勝つかによって、二つのエンディンが用意されているらしい。ストーリーの展開上、ある程度試合を見せないとならないし、舞台に立ってプレイをする俳優が、ビデオに合わせて玉を打つのは不可能に近いので、どうしても生で見せるしかない。故、ディランの対戦相手役も、スヌーカーのチャンピョンが扮している。ディラン役のベン・シュネッツアー/ Ben Schnetzerは主演が決まってから、スヌーカーを練習したらしい。

テンポが速く、コメディーでありながらも、途中でどんでん返しがあるところは面白いが、わかりにくいアイルランド訛りの英語で聞き、アメリカでは馴染みのないスヌーカーの試合をゆっくり見せられ、更にエンディングは単純な恋愛ドラマの様で、拍子抜けする。
8/29/18
閉演:11月11日2018年

メディア評

NY Times: 8
Wall Street Journal: 2
Variety : 8

Samuel J. Friedman Theater
261 W. 47th St.
上演時間: 2時間15分(15分の休憩含む)

舞台セット ★★★★★
衣装 ★★★★☆
照明 ★★★★☆
ストーリー ★★★☆☆
キャスティング ★★★★☆
総合 ★★★☆☆

Photo by Joan Marcus

Photo by Joan Marcus

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