ゴッホの耳 Van Gogh’s Ear

ゴッホの耳 Van Gogh’s Ear

オフ・ブロードウェイ
ゴッホの耳 Van Gogh’s Ear
ゴッホの耳 Van Gogh’s Ear

Closed: 9/10/2017。音楽劇というよりも、ゴッホをイメージした贅沢な音楽コンサートの様だった。ステージ上手はゴッホの有名な絵画に描かれた椅子のある部屋があり(2幕ではそこが精神病棟に変わる)、反対側の下手には弟テオ家の暖炉がある。舞台背面からは何本かの幅広の白い布が演上にまでひた垂れ、プロジェクションによりいくつかのゴッホの絵の一部分が、拡大して投影されている。
そこには筆の跡がはっきりと映り、書き手の息づかいまで見たままに感じることができる。

あらすじ&コメント

舞台セットはヴァネッサ・ジェームズ。最近では使われ過ぎる感があるプロジェクションを、ここまでセットやテーマそして舞台全体の美と融合させたのは珍しい。

劇はそれぞれ認知度が上がりつつあるオペラ歌手のチャッド・ジョンソンとレニー・テイタムが、それぞれ弟テオと愛人ガブリエルを無言で演じ、ときおりテーマに合わせてドビッシーやフォーレなどの歌曲を静かに歌う。

そして舞台中央後方では弦楽四重奏団が、下手後方ではピアノが穏やかに曲を奏でている。まるで夢を見ているかのような幻想的で美しい作品だった。

経済的な支援を受けていた弟テオに宛て書かれたゴッホの手紙は知られている。台詞はここから引用されている。つまり舞台で言葉を発するのはほとんどがゴッホだけとなる(精神科医が話す短いシーンがあり、ゴッホの完全なひとり語りとは言い切れない)。

ゴッホを演じるカーター・ハドソンは、最近テレビドラマ出演もあり一般にも知られるようになった。彼は好青年タイプであるが故にか、この舞台では気が触れるほどの繊細さや神経質さ、天才性、そしてゴッホの短い生涯の悲哀が伝わってこなかった。

メディア評

NY Times: 8
Theatre Mania : 9
Talking Broadway : 8

Pershing Square Signature Center
480 W 42nd St.

尺:1時間40分(休憩なし)

舞台セット ★★★★★
衣装 ★★★★☆
照明 ★★★★★
総合 ★★★★★

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