あらすじ&コメント
テンプテーションズの成功は一夜にして起こったわけではない。ベリーが如何に黒人のグループを白人の世界で受け入れられる様に育てていったか等の様子も興味深い。オーティスがベリーの権力とテンプテーションの他メンバー達の気持ちとの間に挟まれて悩むなどの裏話も描かれている。またその頃、既にスターとなっていたシュープリームス(ダイアナ・ロスが独立前に在籍していたグループ)も出てきて華やかさを添えている。富と名声を手に入れていく一方、スポットライトを奪おうというエゴ、里に残してきた妻とのトラブル、恋愛問題、長期にわたるツアーのストレス、麻薬、酒、と次第に一人、また一人と彼らを内側から蝕んでいった。この作品で紹介されるのは4、5人のメンバーの入れ替えだが、実際には20年以上の間に24人のメンバー交代が行われている。その都度、新メンバーが新しい風を吹き込み、メガヒットを生み出し続ける彼等の弾力性と回復力には脱帽するしかない。更に、これだけ歌って踊れて演技の出来る俳優が次から次とステージに出すことが出来るブロードウェイの底力を感じずにはいられない。
作品のタイトルは彼らのヒット曲『エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ』よりつけられた。♪去っていく君に「行かないでくれ!」と縋らないほど、俺は誇り高くはない♪ という歌詞だ。しかし「トゥ・ベッグ ( 縋らないほど)」を抜いたこのミュージカルの題名は「俺たちの過去はそこまで誇れるものじゃない。(でも俺たちは一生懸命だった。そしてこれだけのソングを精一杯歌い上げて、世界中を沸かしたんだ。)」と言っている様に思えた。
3/28/2019
Imperial Theater
249 W 45th St.
上演時間:2時間30分(15分の休憩含む)
NYTimes 9
WallStreeTJournal 5
Variety 7