Broadway Square

Archduke大公

1914年のサラエボ事件――第一次世界大戦の引き金となった大公暗殺を、風刺とブラックユーモアで再解釈した戯曲である。2017年の世界初演から、その鋭い筆致と不穏な笑いが高い評価を受けてきたが、2025年のオフ・ブロードウェイのリバイバルでは、さらに現代の若者疎外とポピュリズムの危険を鋭く映し出している。 トニー賞ノミネート俳優のパトリック・ペイジ (Patrick Page) と、クリスティン・ニールセン (Kristine Nielsen)の演技が、舞台全体に深みと重さを与えている。

Ragtimeラグタイム

『ラグタイム(Ragtime)』は、1998年に初演された、アメリカを壮大なスケールで描いたブロードウェイを代表するミュージカルである。2年間にわたって上演され、トニー賞13部門にノミネート、うち4部門を受賞した。豊かでシンフォニックな音楽とともに、人種・階級・移民というテーマを通して「アメリカン・ドリーム」の光と影を浮かび上がらせた作品である。今回のリンカーン・センター版では、28名編成のオーケストラによる重厚なサウンドが劇場を満たし、作品全体のスケールをさらに拡張した見がいのある作品になっている。 原作は、ニューヨーク・ブロンクス生まれのユダヤ系アメリカ人作家E・L・ドクトロウ(E. L. Doctorow, 1931–2015)の小説『ラグタイム』(1975)。作曲はスティーヴン・フラハティ(Stephen Flaherty)で、オープニングナンバーの「ラグタイム」、そして「夢の車...[Read More]

Romy & Micheleロミー&ミッシェル

『ロミーとミッシェルの場合』の邦題で知られる映画のミュージカル版が、地方での初演から8年の時を経てオフ・ブロードウェイに上陸。 タイムズスクエアからほど近い42丁目にある、客席数499の比較的大きな劇場Stage 42での挑戦に期待が寄せられた。

Masqueradeマスカレード

今年のニューヨーク演劇界で注目を集めているのはミュージカル『オペラ座の怪人』の2年ぶりの復活。 没入型の作品として生まれ変わり、タイトルも『マスカレード(仮面舞踏会)』と改められたリバイバルが、オフ・ブロードウェイで連日ソールドアウトの快進撃を続けている。

The Least Problematic Woman in the Worldザ・リースト・プロブレマティック・ウーマン・イン・ザ・ワールド

“世界で最も問題のない女性”と訳されるタイトルとは正反対に、その行動で世間を騒がせたトランスジェンダーのディラン・マルバニーが自らの過去を振り返る内容。 ステージに立つのは彼女ひとりとはいえ、著名な作詞・作曲家たちが楽曲を提供し、舞台やTVの大物が映像や声で出演、ボリューム感が特徴の作品となる。

Saturday Churchサタデー・チャーチ

『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』の邦題で知られる2017年のミュージカル映画を本格的に舞台化したのが『サタデー・チャーチ』。 ミュージカル『RENT』や『Once』を送り出したことで知られるオフ・ブロードウェイのNYシアター・ワークショップで期間限定公演を2回にわたり延長するほど観客から高く評価されている。

Waiting for Godot ゴドーを待ちながら

2025年の秋、映画界で長年コンビとして知られるキアヌ・リーヴスとアレックス・ウィンターがブロードウェイで再共演を果たし、大きな話題を集めている。 作品は、サミュエル・ベケットの代表作にして、20世紀演劇を象徴する『(ゴドーを待ちながら)』。演出は、『サンセット大通り』(アンドリュー・ロイド=ウェバー作)でも注目を浴びたジェイミー・ロイドである。ベケットの不条理劇とロイドのミニマリズムが交差し、時代を超えて呼吸する新たな「ゴドー」が誕生した。

Punchパンチ

「赦し」「責任」「更生とは何か」という問いを観客に投げかける『Punch』は、俳優たちの熱演と演出の緊張感が融合し、2025年のブロードウェイで見逃せない社会派作品のひとつとなっている。 若い時に犯罪を犯してしまったジェイコブ・ダンの回想録を、ジェームズ・グレアムが戯曲化した新作だ。イギリス中部の地方劇場での初演(2024年)を皮切りに、ロンドンの公立劇場での上演を経てウエストエンドに進出。その勢いのままブロードウェイ入りを果たした。 グレアムは政治・社会派の劇作家として知られ、『Ink』でトニー賞にもノミネートされたイギリスの人気劇作家である。 19歳の衝動的な一撃(パンチ)が引き起こす悲劇と、その後に続く贖罪と和解の物語が描かれている。

Ava: The Secret Conversationsアヴァ・秘密の会話

ハリウッド黄金期を代表するアヴァ・ガードナーは、フランク・シナトラ、ミッキー・ルーニー、アーティ・ショウと結婚し、さらに大富豪ハワード・ヒューズとの恋愛関係でも知られており、華やかな私生活でも注目を浴びた女優である。映画『モガンボ』(1953年)ではアカデミー主演女優賞にノミネートされ、セックス・シンボルとしての地位も確立した。 脚本を書いたのは、アヴァを演じるエリザベス・マクガヴァン自身で、彼女にとって初の舞台脚本作品である。亡くなる2年前の1988年、アヴァは自伝執筆をジャーナリストのピーター・エヴァンスに依頼した。脚本の原作となったのが、このインタビュー記録をまとめた回想録で、スター女優の光と影を凝縮した伝記劇である。

Ginger Twinsies ジンジャー・ツインジーズ

リンジー・ローハンが主演した1998年の映画『ファミリー・ゲーム/双子の天使(原題:The Parent Trap)』を非公式に舞台化したのがオフ・ブロードウェイで上演中のストレートプレイ『ジンジャー・ツインジーズ』。 観客を抱腹絶倒させることを最優先にしたかのような喜劇が、若年層の観客から高い支持を得ている。

Jamie Allan’s AMAZEジェイミー・アランズ アメイズ

この夏から秋にかけてオフ・ブロードウェイで上演されているのが、イギリス出身のハイテク魔術師のジェイミー・アランによる『アメイズ』。 ブロードウェイ界隈にある複合芸術施設内の客席数199の小劇場での上演ということを最大限に生かし、ノスタルジックな感慨で観ることのできる人間味が漂う上質のマジックショーだ。

Goddessゴッデス

名作ミュージカル『コーラスライン』や『ハミルトン』などが初演されたことで知られるオフ・ブロードウェイのパブリックシアター。 ニューヨーク演劇界の2025—2026のシーズンが始まって間もない中、この名門劇場で上演され高く評価されたのがミュージカル『ゴッデス』で、プレビュー開始前から期間限定の公演を延長するほどの注目を集めた。

Lost Password