Broadway Square

The Shark is Broken サメが壊れた

先頃巨大ザメの映画「MEG2」が公開されたが、この手の作品は皆、多かれ少なかれスティーヴン・スピルバーグ監督による1975年の名作映画『JAWS/ジョーズ』の影響を受けていると言っていい。その『JAWS/ジョーズ』の撮影現場の様子をコメディータッチで描いた戯曲が『サメが壊れた』だ。

Once Upon a One More time ワンス・アポン・ア・ワンモア・タイム

ポップのプリンセスとも呼ばれるブリトニー・スピアーズのヒット曲22曲が散りばめられた本作品は、よくある伝記風のジュークボックス・ミュージカルではない。タイトルが匂わせている通り、お伽噺のシンデレラや白雪姫、眠れる森の美女など、おなじみの主人公が6人も出てくるブリトニーとは関係のない話に仕立てられている。お伽噺の語り始めによく使われる「Once Upon A Time(昔昔、〜)」をブリトニーのヒット曲「Baby, One More Time」と合わせて語感も良く、シャレたタイトルとなっている

2023年 トニー賞に向けて

5月2日、トニー賞各賞のノミネートが発表された。だが他方、その日の朝から始まっていたのが放送作家達のストライキだった。テレビ、ラジオ、映画、ネットなどのすべての作家達が参加している。米国の組合(ユニオン)は日本と違い、職種別に組織されているのがほとんどなので、この人たちがストライキを始めたことで授賞式も一時延期となった。放送する四大ネットワークに流す映像を組み立てるCBSのライターも、ユニオン会員だからだ。 授賞式では放送中ミュージカルのノミネート作品らのハイライト・シーンが生で披露される。これは全米にいるブロードウェイ・ファンにとっては堪らないし、プロデューサー等にとってもまたと無い宣伝となる。もちろんそこで優勝を勝ちとれれば万々歳だ。したがってブロードウェイのプロデューサー達にとっては、放送されないトニー賞の授賞式など考えられないので、これには焦ったと思う。 授賞式の目玉は、最後に勝者...[Read More]

Sweeney Todd: THE DEMON BARBER OF FLEET STREET スウィーニー・トッド〜フリート街の悪魔の理髪師〜

無実の罪を着せられて家族を奪われた男が、恨みと復讐の念から狂気にはしり、殺人を繰り返すのがこの作品『Sweeney Todd スウィーニー・トッド』だ。ブロードウェイ・ミュージカルとしては珍しく血生臭い。随分前になるがティム・バートンが映画化し、ジョニー・デップがアカデミー賞主演男優にノミネートされて有名だが、元々は1979年、故ソンドハイムが60歳の時にブロードウェイ公演して、8部門でトニー賞を獲得したミュージカルの名作だ。今回が3度目のリバイバルとなるが、1番の注目は主演のジョッシュ・グローバン(Josh Grovan)だろう。

Shucked シャックト

作詞家アラン・ジェイ・ラーナーと作曲家フレデリック・ロウは、『マイ・フェア・レディ』や『恋の手ほどき』などを制作した名コンビ。18年間に7つのミュージカルを作り、彼等が逝って久しい今でも「ラーナー&ロウ」と親しみを込めて呼ばれている。その彼らが、アーサー王の伝説を元に書かれたT.H.ホワイトの「永遠の王」にひらめきを感じ、制作したのが『キャメロット』だ。『マイ・フェア・レディ』の大成功から4年を経た1960年、ジュリー・アンドリュースとリチャード・バートンの豪華キャストでブロードウェイで初演されたのがオリジナルとなる。トニー賞を4部門で受賞し、2年半公演され続けた真の正統派伝統ミュージカルである。が、今回の脚本は、映画『ア・フュー・グッドメン (A Few Good Men)』やテレビ・シリーズ『ザ・ホワイトハウス (The West Wing)』などを書いたアーロン・ソーキンが、現代風に...[Read More]

Camelot キャメロット

作詞家アラン・ジェイ・ラーナーと作曲家フレデリック・ロウは、『マイ・フェア・レディ』や『恋の手ほどき』などを制作した名コンビ。18年間に7つのミュージカルを作り、彼等が逝って久しい今でも「ラーナー&ロウ」と親しみを込めて呼ばれている。その彼らが、アーサー王の伝説を元に書かれたT.H.ホワイトの「永遠の王」にひらめきを感じ、制作したのが『キャメロット』だ。『マイ・フェア・レディ』の大成功から4年を経た1960年、ジュリー・アンドリュースとリチャード・バートンの豪華キャストでブロードウェイで初演されたのがオリジナルとなる。トニー賞を4部門で受賞し、2年半公演され続けた真の正統派伝統ミュージカルである。が、今回の脚本は、映画『ア・フュー・グッドメン (A Few Good Men)』やテレビ・シリーズ『ザ・ホワイトハウス (The West Wing)』などを書いたアーロン・ソーキンが、現代風に...[Read More]

Parade パレード

19世紀初頭のレオ・フランク事件を元とした社会派ミュージカルで、1998年に発表されトニー賞 (最優秀脚本賞、最優秀楽曲賞)を受賞している。

The Best We Could〜 a family tragedy〜 訳:精一杯やった〜ある家族の惨事〜

新人脚本家エミリー・フェルドマンの戯曲。米国における熟年層、コンプライアンス、大人になりきれない若者、家庭内の世代の壁といった諸問題に正面から取り組んでいる。観客はサブタイトル「〜ある家族の惨事〜」を見て心の準備をしていた筈だが、始まってみるとコメディータッチの作風によって終始笑いに引き込まれ、楽しく時を過ごしていたようだ。しかし最終盤で身につまされる結末に接し、種々な思いに襲われたのだろう。閉演後のロビーは気持ちを明かし合う観客でいっぱいだった。

Fat Ham ファット・ハム

6月には、トニー賞授賞式をもってブロードウェイはシーズンを締めくくり、今度はオフ・ブロードウェイの小劇場で様々な舞台が幕を開き、ニューヨーク演劇界の夏が本格化する。やっと劇場の感染対策の規制は緩和され、ワクチン接種証明の提示やマスク着用義務の撤廃も進んで、パンデミック前の状態に近い夏を久々に迎えている。そこで最初に注目を集めたのは、アフリカ系アメリカ人の一家を描いた作品だ。

Endgame エンドゲーム

『ゴドーを待ちながら』で知られるノーベル賞作家サミュエル・ベケットによる1957年の不条理劇『エンドゲーム』が、オフ・ブロードウェイで演じられ賞賛された。題目の『エンドゲーム』は、チェス用語で使われる『終盤戦』のことらしい。

A Beautiful Noise ビューティフル・ノイズ

1966年のデビューから今世紀初頭にかけて多くのヒット曲を生み出したニール・ダイアモンドの伝記ミュージカルである。1億3千万枚という記録的なレコード売上枚数を誇り、ビルボードのコンテンポラリー・チャート部門ベスト10入りが38曲、ソングライターとして名誉殿堂入り、ケネディーセンター名誉賞、グラミー賞特別功労賞生涯業績賞など数々の賞を受賞したアーティストだ。演目名『A Beautiful Noise』は、1976年のアルバム「Beautiful Noise」からとっている。

The Picture From Home ピクチャー・フロム・ホーム

前衛写真家ラリー・サルタンは、週末に実家を訪れ、老いてゆく両親を何年にもわたって撮り続けた。そして1989年、短い文章をその写真に添えて、子供の頃の家族の八ミリ映像と一緒にMOMA(ニューヨーク近代美術館)で個展を開く。その展覧会は評判となり、そこを出発点に彼の名は知られて行くようになる。既に彼は亡くなっているが、今でも世界中に多くのファンがいる。

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