ストーリーは馬鹿げているが「100分間の爆笑」というキャッチフレーズが劇場の外に書かれていただけあって、ジョークが可笑しくて、最初から最後までかなり笑える。ただ、ユダヤ人の文化を元にした笑いが多いので、ユダヤ系が人口の13%と言われているニューヨークに長い間住んでいる人にお薦め。
演出はデヴィッド・ハイド・ピアース。彼にとって、ブロードウェイの演出は初めて。
俳優としては『そりゃないぜ!? フレイジャー』という人気テレビシリーズで4回エミー賞を受賞、ブロードウェイではミュージカル『カーテンズ』で、2007年のトニー賞最優秀男優賞を受賞しているベテラン俳優で、日本では知っている人も多いのではないかと思う。
いつもレベッカに一言イヤミを言うユダヤ系の両親のお母さん役には、エミー賞に6回、トニー賞に1回輝き、アメリカン・シアターの殿堂入りもしているタイン・デイリー。レベッカの婿の母親役には、やはりトニー賞受賞者でもあり『デスパレートな妻たち』など多くのテレビにも出演しているハリエット・ハリス。その二人を始めとして、全員ベテランぞろいだが、コメディの傑作な台詞の合間に入る歌も皆、すごくうまい。何故アメリカ人は演技派の俳優なのに、歌わせても、皆あんなに歌えるのだろう、と驚き感心することが良くある。この作品もしかり。欧米でオペラやミュージカルが生まれたのは、細胞やDNAに関係していると思わずにはいられない。