Maybe Happy Ending  メイビー、ハッピーエンディング(多分ハッピーエンド)

Maybe Happy Ending
メイビー、ハッピーエンディング(多分ハッピーエンド)

ミュージカル ブロードウェイ
Maybe Happy Ending
メイビー、ハッピーエンディング(多分ハッピーエンド)
Maybe Happy Ending  メイビー、ハッピーエンディング(多分ハッピーエンド)

2016年に韓国ソウルで初演されたミュージカルで、批評家からの絶賛に勢いを得て、日本の日比谷シアタークリエ、米国アトランタのアライアンス・シアターで上演され、満を持して2024年、ブロードウェイにやってきた。脚本と作曲はアメリカ人ウィル・アロンソン、また脚本を共同執筆したヒュー・パークは視覚芸術を学ぶために韓国から渡米してきたヒュー・パークで、作詞も彼による。二人はニューヨーク大学で出会ったのだが、今回、若者の間で人気の演出家マイケル・アーデンと共に、このミュージカルを作り上げた。ちなみにマイケル・アーデンは『春のめざめ』や『ワンス・オン・ディス・アイランド』などの作品を手掛けている。

2016年に韓国ソウルで初演されたミュージカルで、批評家からの絶賛に勢いを得て、日本の日比谷シアタークリエ、米国アトランタのアライアンス・シアターで上演され、満を持して2024年、ブロードウェイにやってきた。脚本と作曲はアメリカ人ウィル・アロンソン、また脚本を共同執筆したヒュー・パークは視覚芸術を学ぶために韓国から渡米してきたヒュー・パークで、作詞も彼による。二人はニューヨーク大学で出会ったのだが、今回、若者の間で人気の演出家マイケル・アーデンと共に、このミュージカルを作り上げた。ちなみにマイケル・アーデンは『春のめざめ』や『ワンス・オン・ディス・アイランド』などの作品を手掛けている。

2064年の韓国。あるアンドロイド2体がふとしたことで出会い、以前のオーナーを訪ねる旅に出る様子を描いている。SFとロマンチック・コメディーの要素を融合させて、愛と孤独のテーマに迫っていく。ロボットの視点から人間であることの意味を描く独創的な切り口は面白く、多くの好意的な劇評を獲得した。多少アニメっぽい軽さもあって、柔らかい優しいタッチながら、切ないエンディングに多くの観客が涙ぐんでいた。古い話で申し訳ないけれど、SFテレビドラマ・シリーズ「スター・トレック」のレギューラーとして人気の高かったアンドロイド(データ)の様々な葛藤のエピソードを思い出した。

主役オリバーを演じるのは、白人の父親とフィリピン、スペイン、中国の血を引く母親を持つダレン・クリス。 舞台では『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』や『アメリカン・バッファロー』などに出演しているが、テレビ業界でも活躍し、エミー賞とゴールデングローブ賞を受賞している。クレア役を演じるのは、 アジア系アメリカ人のヘレン・J・シェン。中国人移民の両親を持つ一人っ子で、まだ24歳。今回がブロードウェイのデビューとなる。小さい頃からピアノの才能を表し、周りはコンサートピアニストを目指すのだろうと思っていたが、大学からはミュージカルを目指し、今に至るサクセス・ストーリーだ。そして、ダレンの脇を固める役として、オリバーが憧れるジャズ・ボーカリストを演じているのがデズ・デュロン。チェット・ベイカーとフランク・シナトラを足した様なスタイルで、グレート・アメリカン・ソングブックのような曲を歌いあげていく。またロボットのオリバーのオーナー役ジェームスとその息子を演じるのは、マーカス・チョイ。落ち着いた優しい雰囲気で、オリバーを愛していたことが伝わってくる味のある演技を見せてくれる。

冒頭で触れたウィル・アロンソンは、ハーバード大学で音楽の学士号を取り、ベルリンで音楽理論を勉強した後、ニューヨーク大学でミュージカル作家を専攻して修士号を取得しており、リチャード・ロジャース賞や韓国のミュージカル賞もいくつも受賞している。一方のヒュー・パークは、映画「バンジージャンプ(する)」の音楽も手掛けており、この作品でも韓国ミュージカル賞を受賞している。舞台装置はデーン・ラフリー。写真にもあるようにフレーム式で、彼とクレアの部屋のシーンが出てくるが、近未来という設定にフィットしている。ビデオデザインはジョージ・リーヴ。ロボットの記憶などは全てプロジェクションによって映し出されていくので、ロボットのコンピューター頭脳の中を見ている様で、舞台にしては映像が多いが不自然な感じはない。衣装はクリント・ラモス。ミュージカル『KPOP』の抜群な色合いの衣装も彼が担当していた。

冒頭で解説したように本作品は、アメリカ人の脚本家とアメリカ在住の韓国人が制作し、韓国で初演されブロードウェイにやって来たのだが、今後このようなパターンが、演劇界の新しい展開方法の一つとして育つのか、興味深い。

<あらすじ>近未来のソウルの某所に、オリバーとクレアという2体のヒューマノイド・ヘルパーロボットが住んでいた。そこは旧型ロボットのための老人ホームのようなところで、どのロボットも好きなことをしながら部品の寿命が尽きるのを待っているのだった。多くの場合、それは電池の寿命で最期は充電ができなくなってしまうのだった。オリバーは元のオーナーが好きだったジャズレコードを聴きながら、やはり元オーナーからもらった植木の世話をしながら、静かに生活を送っていた。ある日彼の部屋を訪ねて来たロボットがいた。向かいに住むクレアだ。彼女のバッテリー・チャージャーがダメになったので、借りに来たという。この出会いがきっかけとなり、二人は毎日会うようになる。

二人の会話からいろいろなことが分かって来る。どうやらオリバーは、いつか元の主人が迎えに来てくれるに違いないと信じている。一方クレアは、自分たちロボットは月日が経てば旧型となり、やがてはオーナーに捨てられるという状況をよく理解していた。そこでオリバーには現実を見て貰って儚い希望を捨てるのが一番いいと考え、元オーナーに会いに行く旅を提案する。彼女にはまた、自分のバッテリーの寿命が尽きる前に済州島の夜空に飛び交うホタルを見たいという夢もあった。そこて二人は車と船の旅に出かける。そして二人は次第に特別な友情で繋がることになる。(11/13/2024)

Belasco Theatre
111 W 44th Street, New York, NY (5番と6番街の間)
公演時間:1 時間40 分(休憩なし)
公演期間:2024年11月12日〜

舞台セット:8
作詞作曲:7
衣装:9
照明:8
キャスティング:7
総合:9
© Matthew Murphy
© Matthew Murphy
© Matthew Murphy and Evan Zimmerman
© Matthew Murphy and Evan Zimmerman

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