The Visit(上演終了) 作品レビュー

ブロードウェイ

写真©Frank Ockenfels

写真©Thom Kaine

スイスの作家フリードリヒ・デュレンマットの名作戯曲「貴婦人の訪問」のミュージカル版でブロードウェイ初演。

ブロードウェイでは2015年4月にオープンしたが、実は2001年のシカゴ初演から始まり、2008年のバージニア州公演、2011年のコンサートバージョン、そして2014年にマサチューセッツ州のウィリアムズタウン・シアター・フェスティバルでの期間限定公演を経やっと開幕したというミュージカル作品。すでに日本では、東宝が2015年8月13日‐31日、ドイツ版のミュージカルを出す予定。

主演は、2001年のシカゴ公演からクレアを演じているブロードウェイ・ミュージカルの大御所でトニー賞を2度受賞しているチタ・リヴェラ。さすがにそのオーラと貫禄は凄いものがある。すでに82歳でこの後の引退を表明しているので、彼女のファンには必見。

リヴェラが演じるクレアは、ストーリーで「飛行機事故で億万長者の旦那は死に、自分は義足だったり、義手だったり」伝々、という設定だが、実際にチタ・リヴェラも、53歳の時のタクシーの事故で右足を折っており、それを庇って座る仕草などは、演技でもない。

写真©Joan Marcus

演出は、2005年にリバイバルされたミュージカル『スウィーニー・トッド』でトニー賞の演出賞を受賞し、リバイバル・ミュージカル部門で最優秀作品賞を受賞している『カンパニー』なども手がけたジョン・ドイル。

舞台セットはギュレン市の蔦で覆われた、最初にクレアが降りてくる汽車の駅を表したもので、最後までそのままであるが、非常にシンプルでありながら凝っており、照明で効果的に雰囲気を醸し出している。 黄色い靴でお金が象徴されている様だが、服装は非常に写実的なのに、突然、クレアのお付きの宦官二人だけ白塗りした顔で出てくるのは不思議で、そこまで彼らを目立たせた意味が今ひとつわからない。 チタ・リヴェラの相手役を演じるのは、2011年のウィリアムズタウン・シアター・フェスティバル版でも共演しているウェールズ出身の演技派俳優、ロジャー・リース。ただ、彼はミュージカル俳優ではないので、台詞を読む様に歌う技法を使うしかなく、美しいメロディーの曲が可哀想になる。そのために、観ている側としては「落ちぶれて(歌も歌えない)彼に何故そこまで執着する?」という気持ちにもなる。若いアントン(ジョン・リドル)は対照的に素晴らしく美しい澄んだ声だが、歌う出番は少なく残念だった。

他のメディアのレビュー

NY Times: 6
Time Out: 6
Wall Street Journal: 6

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