Finding Neverland(上演終了) 作品レビュー

ブロードウェイ

写真 © Carol Rosegg

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ピーターパンがテーマだと、すぐにフライングを期待してしまうが、そういうスペクタクル性に頼るのではなく、父を亡くし大人になることを余儀なくされる少年達と、バリーの「子供に戻りたい」と言う心が通い合って、次第に子供たちが劇作家を慕っていく様になる描写がわかり易く描かれていている。

終盤の少年達の母親の死は、何台にもなる下から吹き上げる扇風機を使っての、舞台ならではの描き方で、感動ものである。舞台セットは最初シンプルで、中盤から後半にかけて次第に映像などを使って盛り上がって行く様が素敵だ。

 

ケルシー・グラマーはテレビ俳優として知られているが、今回はバリーのプロデューサー役とバリーの想像の中の海賊のフック船長役を務める。音程は多少危なっかしいが元々は舞台俳優なので、さすがにその低い声が通るし、舞台の上での存在感は十分あり、コメディ役者としての間の取り方も絶妙だ。バリー役のマシュー・モリソンの特に高い域での声の美しさにはいつも感心するが、今回も時々、舞台上の男の子が歌っているのか、女性が歌っているのか、彼が歌っているのか区別ができない程だった。ただ、彼の演技は悪くないのだが、子供に対する愛情の深さをあまり感じさせない。ハンサム役タイプ過ぎて、ベリー役には合ないのかもしれない。なによりも残念だったのは、ミュージカルとしては楽曲が心に残るものが少ない。セットの造りや演出、ストーリーが作り上げるそのファンタジーはユニークで素晴らしいのに、メロディの方は一般的で退屈なものが多く、それがこのミュージカル作品の致命的な欠点である。時には「ここでこの音楽?!」とガックリくる位。トレートプレイとして上演すればかなりいい線に行くのではないかと思った。

 

4人兄弟が一緒にハモって歌う一曲は、彼らの成熟されていない雰囲気がなんとも可愛くて、観客の心を捉え拍手がひときわ大きかった。少年が中心のホームドラマであり、涙を誘う親の死などをテーマにしているところが日本人の心をひくのか、これを観た日本人が皆感動しているわりには、アメリカのメディア)の評判は悪い。しかし劇場は2階席の上の上まで満員だったし、スタンディングオベーションをしている観客の興奮度を感じた私には、メディアだけが毛嫌いしているのだろうか、と不思議だった。

他のメディアのレビュー

NY Times: 3
Time Out: 3
Wall Street Journal: 3

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