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ゴシック調のロック・ミュージカルで、ジャンヌ・ダルクはブルックリン出身のDJでもあるジョー・ランパートが演じる。ジャンヌ・ダルクというと、メトロポリタン美術館で観ている絵画で描かれている白い衣をまとう長い赤毛のふくよかで健康そうな若い女性を思い浮かべていた。また、1999年の映画『ジャンヌ・ダルク』でタイトルロールを演じたミラ・ジョヴォヴィッチの美しい中性的女性も印象に残っていた。しかし、このジャンヌ・ダルクはゴシック調の髪型やメイク、役者自身の体格が華奢で前屈みだったので、「オズの魔法使い」でお馴染みの緑の魔女をふと思い出してしまった。ただ、衣装や全体の雰囲気がゴシック調で貫いているこの作品は、元々今まであるジャンヌ・ダルクのイメージを再現しようとした作品ではなく、そんなことを期待する方が野暮なのだろうと思う。歴史上の人物を、若者に受ける音楽を使ってヒットした『ハミルトン』を意識していたのかも知れない。少数派かもしれないが、ゴシック調が好きな観客や、ジョー・ランパートの固定ファンにはかなり受けると思う。
そんなスタイルとは相反して、ストーリーは事実にかなり寄り添って作られており、歴史好きな私には面白かったが、ミュージカルであるにも関わらず、その複雑な筋を追う分、ボーヴェの司教以外のキャラは、今一つこちらに伝わらなかったのは残念だった。
Public Theater – Newman Theater
425 Lafayette St.
尺:1時間30分(休憩なし)
舞台セット ★★★☆☆
作詞作曲 ★★★★☆
振り付け ★★★☆☆
衣装 ★★★★☆
照明 ★★★☆☆
総合 ★★★☆☆
©Joan Marcus 2017
©Joan Marcus 2017
©Joan Marcus 2017