スウェット(汗) SWEAT(上演終了)
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2008年、刑期を終えて出所したばかりの若い男性二人が、別々に刑事と話している場面から始まる。
彼らを刑務所に入れた原因が何だったのか分からないまま、話は8年前に遡っていき、舞台はその工場員達がいつも仕事後に立ち寄るバーだ。刑務所に入っていた若い男性二人は、その工場員らの息子だった。親達の怒りの矛先は、自分たちがストを行う間、代わりに工場に雇われていた移民の青年に向かう。
バーでその青年に出会った息子達は彼に殴りかかるが、それを止めようとして、間に入ったバーのオーナーの頭に向けてバットが振られる。
貧しい生活の中で育んだ友情と信頼が、その内の一人の昇進によって、少しづつだが確実に崩れていく緊張感が非常に上手く描かれている。俳優達も誰か一人が目立つわけでもなく、それぞれの役柄らしく雰囲気が出ていた。しかし最近のアメリカは舞台にしても映画にしても、「バカで攻撃的な白人」「賢くて真面目な黒人」というパターンばかり。この作品も然りで、出てくる黒人二人と南米からの移民だけは誠実で真面目で勤勉なのだが、一方白人達はアル中、薬中毒、馬鹿で乱暴だったりするのだ。
真実の世界をそのまま描いて、その上での葛藤や問題を噛みくだく様な作品が待ち遠しい。
Studio 54
254 West 54th Street
尺:2時間25分(15分の休憩含む)
舞台セット ★★★☆☆
衣装 ★★★☆☆
照明 ★★★☆☆
総合 ★★★☆☆
©2017 Joan Marcus
©2017 Joan Marcus
©2017 Joan Marcus