©2015 Joan Marcus
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Amazing Grace (アメージング・グレイス)という世界的に有名な賛美歌の作詞家、ジョン・ニュートンのセミ・フィクション伝記のミュージカル
Amazing Grace (アメージング・グレイス)という世界的に有名な賛美歌の作詞家、ジョン・ニュートンのセミ・フィクション伝記のミュージカル。
同じ名前の映画もあるが、あちらは当時、聖職者だったジョン・ニュートンとも大きく関わりをもって奴隷解放運動を行った議員の話しである。
ストーリーは奴隷制度から解放される黒人、自分の心の葛藤から解放されて一人の芯の通った人間となる白人男性、恐怖から解放されて勇気を持って生きる決心をする女性の3つから成り、テーマは、「Freedom (自由、解放)」である。
最近、アメリカではポリティカル・コレクトネス(+政治的や社会的に偏見や差別などがないようにする表現方法、また、その概念)の行き過ぎで、まるで昔のアメリカの魔女狩りの様に、少しでもそれにそぐわない表現や文章に噛みついてくる。そういう最近の動きを残念に思っている私には、そのポリティカル・コレクトネス的倫理感の強いストーリーに、最初、抵抗を感じた。しかし、台本や俳優達からは、独善的さが感じられず、次第にその誠実な演技と姿勢に飲み込まれた。また、役者たちの歌のうまさも、そのストーリーの単純さを救っていたのかもしれない。
主役のジョシュ・ヤングのテナーと、メリー役 エリン・マッケイのソプラノのデュエットは、空気を透き通らす様で、じっと聴き惚れてしまった。父親役のトム・ヒューイットやチャック・クーパーのソロも素晴らしい。そして、最後にヤングのソロで始まり、そこにマッケイがジョイン、そして、一人、また一人と加わって、一同舞台の上で、この美しい 「アメージング・グレース」を歌い上げた時には、無神教の私も感動してしまった。
かなり装飾もあるらしいが、こんなにも有名な賛美歌の作詞家が、こういう人だったのか!という驚きや、それを知ったお得感もあった。どうやらアメリカ人でも彼の話しを知っている人は少ないらしい。