連続テレビ小説『マッサン』のヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックスのブロードウェイにデビュー!

連続テレビ小説『マッサン』のヒロイン、シャーロット・ケイト・フォックスのブロードウェイにデビュー!

写真©Junji Ishiguro

テレビジャパン/NHK CMAでシャーロットのインタビューは2度させてもらったが、最初は「一昨日、日本からNYCに着いたばかり」という時だった(最初の取材ビデオはこちら。2度目の取材は、テレビジャパンCLUBの11/6の放送からで、テレビジャパンCLUBのサイトから見れます!)。 一度目は英語での取材だったが、その表情、ちょっとした仕草や息継ぎまで、一つ一つが日本人そのもの。つい「日本人みたいですね」と言ってしまったが、すぐに「そう、 自分でも半分日本人なんだと感じています」と返って来た。2度目の取材はそれから2週間後だったが、その映像を見て彼女の変化に驚いた。アメリカ人に変身していたのである(アメリカ人に戻っていた、というのが正確なのかもしれないが)。ブロードウェイという大きなチャレンジとチャンスの中で、明るい笑顔をしながらも、「甘く見られてはいけない、戦わなければ」という姿勢と目の表情だった。その変化がとても興味深く、またヴェルマを演じるアムラ=フェイ・ライトがインタビューで「シャーロットは今までにないロキシーを作り上げた」と語っていたので、それを楽しみに観に行った。

『シカゴ』を観るのは3度目だったが、こんなに美人で上品なロキシーは初めてだ。テレビジャパンでニューヨークに居ながら朝ドラ「まっさん」をずっと観ていたし、これがどれほど大きなチャレンジかわかっているので、彼女が出てくる度にドキドキしてしまった。

華奢なシャーロットにとって、『シカゴ』の様な声量で聴かせる歌や、機敏で早いステップの多い作品は正直向いていない。しかし芝居のうまさでは他の俳優にも全く見劣りすることなく、彼女なりのロキシーを作り上げていた。バカなのにどこか気品があり、ずるいのに愛らしいロキシーだった。彼女に合っているとは言えないロキシーという役柄を、短い間のトレーニングで、ここまで良く頑張ったと思う。頭のいい役者なんだろう。初日は、スタンディング・オベーションだったそうだ。

あらすじと作品紹介

舞台は禁酒法時代、1920年代のイリノイ州シカゴ。ギャング同士の戦いや、機関銃による殺人が日常茶飯事に起こっていた。当時実際に起こった事件とその裁判からヒントを得た作品。シカゴ・トリビューン紙の女性記者であったモウリン・ダラス・ワトキンスが取材していたビューラ・アナンとベルヴァ・ガートナーの裁判を基にストーリーが作成されている。

女優志望のロキシー•ハートの夢は、ボードビルに出ることだったが、自分を見捨てようとした愛人を殺して、投獄されてしまう。夫が雇ってくれた悪徳弁護士は、マスコミをうまく利用し、ロキシーを正当防衛の悲劇のヒロインに仕立て上げ、陪審員の同情をかいながら無罪を主張した。ロキシーは、自分が殺人犯であることを忘れ、思ってもいなかったマスコミからの目が嬉しくてたまらない。 夫と妹を殺した罪で同じ牢獄で裁判を待つ女優のヴェルマは、マスコミを賑わせているロキシーが気に食わないが、なんとか彼女の勢いを利用して自分も再度スターの座を取り戻そうとする。しかし、気ままなマスコミは他の事件があると、すぐにロキシーもヴェルマのことも忘れてしまう。そこで今度ロキシーは 「妊娠した」と噓をついて、またマスコミのスポットライトを浴び、弁護士の力でまんまと無罪になる。この勢いで、有名人になろうとしたロキシーだったが、マスコミは又すぐに次の事件を追いかけ、ロキシーの傍から消えてしまう。 ずっとロキシーの心の支えとなろうとしていた夫に、「妊娠はでっちあげだったの」と伝え、とうとう彼もロキシーの元から去って行く。そしてヴェルマとロキシーの二人は、今日もボードビルのショーに出演しながら人生を歌う。

フレッド・エッブとボブ・フォッシーが脚本を手がけ、1975年のブロードウェイ初演ではキャバレーの演出家としても有名なフォッシーが振付を担当し、 そのスタイルを引き継いだ今の振り付けも、大胆かつセクシーなジャズダンスの振付で有名である。1996年にリバイバルされ、翌年1997年にはトニー賞6部門での受賞を果たし、現在ブロードウェイのリバイバル作品としては史上最長のロングランを記録している。ボブ・フォッシーは、キャバレーの演出家としても有名だが、彼の独特な振り付けを、たっぷり楽しめる作品である。

Ambassador Theatre,
219 W. 49th Street,
New York, NY 10019

尺:2時間30分(15分の休憩含む)

舞台セット ★★★☆☆
音響 ★★★★☆
振り付け★★★★★
衣装★★★★☆
照明★★★★☆

「シカゴ」のページへ→

Lost Password