Beetlejuice ビートルジュース

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ビートルジュース

ミュージカル ブロードウェイ
Beetlejuice
ビートルジュース
Beetlejuice ビートルジュース

監督ティム・バートンの名前が知れ渡るきっかけとなった大ヒット映画の舞台化とあって、劇場の前に並ぶ人の列には彼のファンであろう若い30代、40代が並び 、普段のブロードウェイの客層とは違う様相を呈している。劇場に入ると、お化け屋敷のようなハロウィーン・スタイルの音楽が流れている。映画を観た人にはわかるのだが、生きている人がビートルジュースの名前を3回続けて呼ぶと、彼の姿が見られる様になるので、 それを受けて幕にはネオンサインのビートルジュースという名前が2回書いてある。そして、名前から、やはりネオンサインの大きな稲妻の様なデザインの矢印が描かれていて、 緞帳が少し捲れているところをババッと指している。そこからは幕の奥から黄緑色のスモークが漏れ出ている。そんな開演前の雰囲気作りが最高で、ワクワクさせられる。幕が開くと、斧が頭に刺さっていたりなど、様々な理由で死んだと思われるアンサンブルによる死後の世界にご招待~ というユーモアたっぷりの歌詞の歌が披露され、そこにミュージカル『スクール・オブ・ロック』主演のAlex Brightmanがゴーストのビートルジュースとして出てきて、 大喝采が起こる。

あらすじ&コメント

円満に退屈だが幸せな生活をしてきた夫婦アダムとバーバラ役は、ミュージカル『チャップリン』で素晴らしい演技を見せたRob McClureと、あらゆるメロディーを無理なく柔らかい歌声で熟すKerry Butlerがそれぞれ演じる。ある日、大切にしてきた自分の家の居間の床が抜け落ちて、二人は一緒に死んでしまう。その家は投資家チャールズによって売却され、大規模に改築されてしまうことを知った二人は幽霊となり、ビートルジュースとチャールズの娘リディア(Sophia Anne Caruso)の手を借りて、チャールズのビジネスパートナー達を家から追い出そうとする。リディアは冥界に行って亡くなった母親に会いたいと思っているが、一方ビートルジュースは生き返りたいと願っていた。彼らは相手を上手く利用して、何とか自分の願いを叶えようと頭を捻る。幽霊を食べるという大きなサンド・スネークが舞台いっぱいに出てきたり、ビートルジュースが司会をする「骸骨 対 生きている人」のクイズ・ショーがあったり、女の子がガールスカウトの資金にするために家から家をノックしてクッキーを売るシーンがあったりと、それぞれ楽しく面白い。

リディアは意見をはっきりと言う、好き嫌いの激しい女の子。ビートルジュースはガラガラ声のワイルドでわがままな子供のようなキャラで、最初から最後まで殆ど通しで舞台に出ているところなどは、映画とは異なっている。コメディー・キャラのデリア役を演じるLeslie Kritzerを筆頭に、脇役がその素晴らしい声と演技力でリディア役のSophiaを支えている。まだ17歳の彼女の声量は大人も顔負けだが、声が薄く一本調子で鼻声なので、長い曲は聴き続けるのが辛い。しかし豪華な衣装と舞台セット、そしてブロードウェイで主役を演じてきているベテラン揃いのキャストを揃えた事で、エンターテインメントの正道を行っている作品に仕上がっている。一方、プレイビルには原作者の名前は載っているが、ティム・バートンの名前はなく、映画のような個性の強い不思議な雰囲気を期待して観ると、違和感を感じる可能性もある。例えば、バーバラとアダムは明るい平均的な普通の夫婦なので、彼等のナンバーは、明るい普通のミュージカルで良く聴くような楽曲になっている。もう少し全体を通して不思議な雰囲気の漂うスタイルを試す冒険があっても良かったように思う。
4/19/2019

Winter Garden Theatre
1634 Broadway(AT W. 50TH ST.)
New York, NY

舞台セット:9
作詞作曲:7
振り付け:7
衣装:9
照明:9
総合:7
Photo by Matthew Murphy, 2019
Photo by Matthew Murphy, 2019
Photo by Matthew Murphy, 2019
Photo by Matthew Murphy, 2018

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