Daddy Long Legs ダディ・ロング・レッグズ(足ながおじさん)(上演終了) 作品レビュー

オフ・ブロードウェイ

下手奥はジャ—ビスの書斎、上手はジュディーの空間になっている舞台は小さいながらよく出来ている。オフというと、席数は500席以下の劇場を指すが、ここは100席くらいの小劇場だった。小さい空間でベテランのミュージカル俳優2人の美しい声を目の前で聴けるという、ニューヨークならではの贅沢さに唸ってしまった。

この小さい空間でベテランのミュージカル俳優の男女が、目の前で美しい声をガンガン聴かしてくれるニューヨークならではのその贅沢さに唸ってしまった。(ただ「贅沢」といっても、この小劇場でも前の方の席だと税込みや切符購入のサービス料金などを含めて行くと、二人で200ドル以上になる)。

作詞・作曲は、トニー賞 ノミネートはたポール・ゴードン。一幕目の最後の「Secret of Happiness」で二人が「♪ 幸せへの鍵は、音もなくスムーズに歩む事。小さい事にとらわれず、過去に引きずられず歩むのが、幸せの秘密 ♪」というデュエットは、感動する。「My Manhattan」も素敵なメロディーだ。

私も小さいころ原本を読んだが、小説では第一章以外は、彼女からの手紙と挿絵だけで構成されている。舞台では一人でジュディー歌い続けても面白くないので、小説には出て来なかったジャービスの気持ちが創造されて歌われる。ミュージカル版のジャービスは、自分の正体を彼女に明かさずに彼女と時間を過ごすことに強い自責の念を感じて悩む。最初に原作本で感動すると、後から続く映画化や舞台化などを、素直に受け入れられなくなることが多々ある。ジュディーも自分が孤児であることをジャービスに打ち明けられないのだし、知らない振りをするのもいいのではないか、などと思ってしまう。私の中ではジャービスは神経質に真面目に悩む人ではなく、理想は高いが少し遊び心があるお坊ちゃん風な人だった。また小説では、最後にあしながおじさんに面会した時、それがジャービスだとはあまりに予期しなかったことだったため、 驚きで数秒声もでないジュディーに向かって、一言ジャービスが「僕があしながおじさんだったって、わからなかったのかい?」とにこやかに両手を広げて、彼女に話しかける。舞台では、ジャービスが「どうして自分の正体を彼女にあかさなかったか」と長い説明をしながら誤り、それに対して彼女は怒った振りをするなど、結構威張っているのである。あそこはあんなに理屈っぽくせず、二人で嬉しい幸せいっぱいの優しい歌を一曲歌う位で良かったのに、などとも思った。 とかなんとか言っているが、とても楽しませてもらった作品だった。

NY Times: 6
Theater Mania: 8
The Huffington Post: 8

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