Gigi(上演終了) 作品レビュー

ブロードウェイ

写真© Margot Shulman

写真© Margot Shulman

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ティファニーのランプを思わせる美しい舞台セットに、緞帳が上がった時は「ハッ〜!」となる。 

最初1944年に小説として世に出て、1951年にはストレートプレイ(芝居)として か、戯曲化されブロードウェイで初演されたが、その時、タイトル・ロールのジジの適役を捜していた原作小説の著者のコレットが、オードリー・ヘップバーンを見そめて、その主人公役に抜擢した。7年後、この作品はミュージカル映画となり、アカデミー賞で最優秀作品賞)も含む9部門を受賞。そして1973年にやっとブロードウェイのミュージカルとして初演され、トニー賞のオリジナル楽曲賞を受賞した。

オリジナルでは元々ジジは15歳、ガストンはもっと年上で歳が離れている設定だったが、このリバイバルでジジは18歳、ガストンは20代の後半位に 設定にし、現代風にしている。また、最後の終わり方も、オリジナルではガストンはジジの祖母に結婚の許しを請うが、今回は、直接本人に求婚させるなど、工 夫していた。

今回、主人公のジジを演じるのは、元々ミュージカル俳優で、映画などで活躍している26歳のヴァネッサ・ハジェンズ。自分の ヌード写真をボーイフレンドに送り、それがインターネットで出回ってしまったことで有名だが、さすがに元々ミュージカル女優として出てきただけあって、 歌、踊り、演技は万遍なくこなしていた。

ただ、彼女の演技は「ディズニーっぽい、、、」と思いプログラムのプレイビルにある履歴を見ると、 実際にディズニーのテレビ番組や映画にも随分と出ている。私の中のジジのイメージは、オードリー・ヘップバーンの影響か、ナイーブさと共に存在する脆さや 可憐さを持つ少女なのだが、ヴァネッサのジジは、ちょっと元気すぎるところもあった。

相手ガストン役は、コリー・コット。25歳という若さ で、声に張りがあり美しい。とても才能のある俳優だが、「大金持ちで人生に飽き、愛人を次々と替えて行くプレーヤー」にしては、真面目で神経質さも感じら れ、その声の張りにはエネルギーが漲っており、適役かどうかは疑問だった。

ジジの祖母役のマミタは、美しい声で知られているベテラン女優のヴィクトリア・クラーク。他にもジジの伯母役のディー・ホティ、ガストンの叔父のハワード・マクギリンなど、

歳行ったベテラン俳優3人がこのストーリーの中で大切な役割を担っている。

舞台は20世紀になったばかりのパリで、とにかく衣装が美しい。

ライトに照らされた小さい蛾が舞台を飛んでいるのが見えた時は、あの奇麗な絹のドレスについてしまうのか、と心配してしまった(ライトで浮き上がるのは、俳優の口から飛び散る唾ばかりではないのです。苦笑)。

マ キシムというレストランでのアンサンブルの振り付けは面白い。上流社会の男性と、それを取り巻く女性達がタキシードと当時の衣装で踊るグループダンスは、 アメリカのモダンダンスの巨匠、ポール・テイラーの『Cloven Kingdom』の影響を強く受けていると思った。野生の男女を感じさせるその踊りは、社交服をまとう裏にドロドロとした男と女の性を感じさせ、このシー ンにピッタリだ。

他のメディアのレビュー

NY Times: 6
Time Out: 6
Wall Street Journal: 4

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