ロミー&ミッシェル
あらすじ&コメント
1997年のロサンゼルスにて始まる物語は幼馴染で親友、そして現在はルームメイトのロミーとミッシェルの2人の友情を描いたもの。
故郷であるアリゾナ州ツーソンで高校卒業10周年の同窓会に出席することとなった彼女たちは、あたかもビジネスで成功し名声を手に入れたかのように装い、自分たちをいじめていた同級生の女子グループを見返すことを目論む。
トレードマークの派手で色鮮やかな服装ではなく黒のスーツを着て、ポスト・イット/付箋紙を発明して富を築いたと偽り、借用した高級車に乗って同窓会が開催される会場に向かう2人だったが、道中で些細な口喧嘩から仲違いしてしまう。
仕方なく別々に同窓会に出席する2人だが、ポスト・イット/付箋紙を発明してはいないという事実を突き止められ、参加者全員の前で屈辱を味わうことになる。
落胆する中お互いを励まし合い、ありのままで良いのだと悟った2人は仲直りをし、色鮮やかなドレスに着替えて同窓会の会場に戻り、自分たちを見下してきた同級生たちから大きな注目を浴びることに成功。
そして、高校時代は女子生徒から毛嫌いされていたものの、実業家として大富豪になった同級生と再会、彼のサポートで晴れてビバリーヒルズに念願の店を構えるのだった。
カルト的な根強い人気を誇る映画の舞台化は、作品に思い入れの強い脚本家とプロデューサーが中心となり進められてきたという。
それもあり、舞台版のストーリーは原作映画に限りなく近い形で進行する。
2017年、そんな舞台版はミュージカル『ヘアスプレー』やディズニーの『アラジン』も初演されたシアトルにある名門地方劇場でお披露目されたため、当然のように有望株と見なされた。
『ウィキッド』や『アナと雪の女王』の人気の秘訣である2人の女性の軋轢と絆というテーマとも共通し、ヒットの要因を十分に兼ね備えているからだ。
そして今回のオフ・ブロードウェイでは、ミュージカル『キューティ・ブロンド』のローラ・ベル・バンディがロミー役、『ニュージーズ』のカーラ・リンゼイがミッシェル役に扮するのが大きな見所。
さらには、ディズニー・シアトリカルの代表としてミュージカル『ライオンキング』や『アイーダ』を世に送り出し、同社からの独立後は『天使にラブソングを ~シスター・アクト~』などを手掛けてきたプロデューサーも携わっているとなれば、自ずと期待が膨らむ。
とはいえ、長年かけて辿り着いた今回のニューヨークでの初演では、残念ながら成功へと繋がる様々な要素が生かされることはなく、制作陣の作品に傾けた情熱が空回りしてしまったようだ。
中でも、終始ぎこちない動きの振付は作品そのものの足枷となってしまう。
そもそも同ミュージカルでは、高校卒業前のプロムや後半の同窓会の場面でのダンスが物語の要となる。
振付にクレジットされているのはカーラ・プノ・ガルシアで、トニー賞の授賞式のオープニング曲などを手掛けエミー賞に輝いた、今最も勢いのある新星だ。
しかし今回の彼女は、同作品で初演から振付を担ってきたミュージカル『紳士のための愛と殺人の手引き』や『アナスタシア』で知られるペギー・ヒッキーから急遽引き継ぐこととなったことから、バランスが崩れてしまったようだ。
このバトンタッチにより、カーラ・プノ・ガルシアが既存の振付を短時間で調整したことが起因となり、全体的に違和感が拭えないムーブメントになってしまった。
台本は途中で高校時代にフラッシュバックし長時間が費やされるなど、原作映画の不均衡な難点を引きずったままの印象を受ける。
このように映画に寄り添う形で進行するにも拘わらず、クライマックスでは一転してミュージカル・コメディ特有の大団円のハッピーエンドを無理にこじつけるため、つじつまの合わないクライマックスとなってしまう。
楽曲も耳馴染みは良いものの、心に響くものは皆無に等しい。
ロミーとミッシェルが同窓会へと向かうところで第一幕が終わり、緞帳が下りて客電が点灯した後にインストゥルメンタルが10秒間流れるため、化粧室に立とうとする観客を混乱させるなど、同作品の音楽面の方向性には首をかしげざるを得ない点が多い。
ピンクを基調としディティールに富んだ舞台装置は、オフ・ブロードウェイ作品とは思えないほど豪華で見応えがある。
LEDスクリーンが背後にある装置は心的飽和感があるとはいえ、今回は映し出されるCGの動画と出演者の動きとのシンクロが絶妙だ。
主役2人がカーテンコールの早替えで着用するポスト・イット/付箋紙を全体にあしらったドレスを筆頭に、色彩に富んだ衣装も遊び心が豊富で楽しめた。
ローラ・ベル・バンディとカーラ・リンゼイの2人もともに存在感があり魅力に溢れているだけに、作品そのものが中途半端な状態で世に送り出されたことが惜しい。(10/31/2025)
Stage 42
422 W. 42nd Street New York, NY 10016
上演時間:2時間15分(休憩一回)
公演期間:2025年10月14日~




