Saturday Churchサタデー・チャーチ

Saturday Church
サタデー・チャーチ

オフ・ブロードウェイ ミュージカル
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サタデー・チャーチ
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『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』の邦題で知られる2017年のミュージカル映画を本格的に舞台化したのが『サタデー・チャーチ』。 ミュージカル『RENT』や『Once』を送り出したことで知られるオフ・ブロードウェイのNYシアター・ワークショップで期間限定公演を2回にわたり延長するほど観客から高く評価されている。

あらすじ&コメント

同ミュージカルはニューヨークを舞台に、父親を亡くしシングルマザーに育てられているティンエイジャーの青年ユリシーズの青春を描いていく。同性愛に目覚め女装に興味を示し始めたユリシーズだが、多忙を極める母親の代理として彼の日々の世話をする厳格な叔母ローズに認められず対立、行き場を失い自身のアイデンティティと葛藤することとなる。

そんな彼が身を寄せるようになったのは、LGBTQ+の人々によって確立され1980年代に広まっていったボール・カルチャーの“ハウス”のように、土曜の夜にダウンタウンの教会で同じ境遇の若者が集う団体サタデー・チャーチ。ファッションやダンスのコンテストを開催し、性の悩みを抱えた人々が平等に受け入れられるこの団体での人々との交流を通して、ユリシーズが成長していく過程を紡いでいく。

舞台版では原作映画と異なり、サタデー・チャーチの団体を取りまとめるエボニーと、その辛い過去も大事なプロットとなっているのが特徴だ。エボニーがかつて慕っていたサーシャは団体の創設者だったが、家族から性的マイノリティであることを拒絶され自らの命を絶ったのだった。

そんな過去と向き合うエボニーの苦悩も同時進行で描かれていく。この作品の最大の売りは、2022年のトニー賞でミュージカル主演女優賞を獲得したジョアキーナ・カラカンゴと、翌年にミュージカル主演男優賞に輝いたJ・ハリソン・ジーの2人が共演しているという点。また、原作のミュージカル映画とは異なり、歌手のシーアが楽曲を手掛けたことも売りとなっている。

今回ジョアキーナ・カラカンゴが演じるのは、主人公ユリシーズの女装をすることを認めない厳格な守旧派の叔母。ミュージカル『パラダイス・スクエア』主演時のように圧巻の歌唱力を披露する見せ場はないが、存在感は他のキャストに抜きんでている。

J・ハリソン・ジーは進行役も務める黒人のイエス・キリストと、ユリシーズを認めない叔母ローズを説得し物語を和睦へと導くルイス牧師の役をかけ持つ。黒人のイエス・キリストに扮する際は奇抜な衣装の数々が豪華で、本人もそれらを楽しんでいることが汲み取れる。

シーアが手掛けたミュージカルナンバーは耳馴染みの良いものが多いが、その曲数があまりにも多いことから心的飽和感を覚えてしまうのは残念だ。
ステージの両サイドには10台のストロボがあり第一幕の冒頭から度々活用、第二幕の嵐の場面でも雷として応用されるが、とにかくその使用の頻度が多くこれにも首をかしげざるを得ない。また原作映画では主人公のユリシーズが少年であったが、舞台では青年となっている。第一幕のラストで初めてメイクをするのだが、とにかくそれが板につかず違和感を覚えてしまう。さらには冒頭からきれいに手のネイルを整えていることが客席から明らかで、女装に興味を示し性に目覚めていくという劇中での過程が伝わりにくいのも事実。同役を演じるブライソン・バトルはテレビのオーディション番組『The Voice』で名声を高めただけあり、その歌唱力は圧倒的なのだが今回の役が適任だったのかは定かではない。

ミュージカルのクライマックスでは、団体サタデー・チャーチがボール・カルチャーの精神を受け継ぐこともあり、身を寄せる人々がファッションやダンスを競い合うコンテストが盛大に開催される。ステージにランウェイ/キャットウォークが再現され、出演者たちが数多くの派手な衣装を身に纏い次々と登場するフィナーレは見せ場で、観客も大いに盛り上がる。決して完成度は低くはないミュージカルではありながらも、改善点は多々あるように感じられた。

来年の春のブロードウェイでは、2024年のオフ・ブロードウェイで大ヒットしたミュージカル『キャッツ:ジェリクル舞踏会』が上演される。こちらも、ボール・カルチャーを反映し、猫たちがランウェイ/キャットウォークでファッションとダンスを披露しトロフィを競い合うという内容のリバイバル。性的マイノリティの黒人やラテン系の人々によって、ニューヨークのハーレムを中心に大ブレークしたボール・カルチャーの文化が、今のニューヨーク演劇界で密かにブームになっているのかもしれない。(9/16/2025)

New York Theter Workshop
79 E 4th St, New York, NY 10003
上演時間:2時間15分(休憩一回)
公演期間:8月27日~10月24日

舞台セット:7
作詞作曲:8
振り付け:7
衣装:8
照明:6
キャスティング:6
総合:7
@Marc J. Franklin
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