The Least Problematic Woman in the Worldザ・リースト・プロブレマティック・ウーマン・イン・ザ・ワールド

The Least Problematic Woman in the World
ザ・リースト・プロブレマティック・ウーマン・イン・ザ・ワールド

オフ・ブロードウェイ ミュージカル
The Least Problematic Woman in the World
ザ・リースト・プロブレマティック・ウーマン・イン・ザ・ワールド
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“世界で最も問題のない女性”と訳されるタイトルとは正反対に、その行動で世間を騒がせたトランスジェンダーのディラン・マルバニーが自らの過去を振り返る内容。

ステージに立つのは彼女ひとりとはいえ、著名な作詞・作曲家たちが楽曲を提供し、舞台やTVの大物が映像や声で出演、ボリューム感が特徴の作品となる。

あらすじ&コメント

パンデミック中にTikTokを始め、2022年より自身が性転換する過程を発信して話題となったディラン・マルバニーの名を世間に知らしめたのは、翌2023年に起こったビールのバドライトを巡る騒動。

この騒動は、ディラン・マルバニーがトランスジェンダーになった一周年記念を祝して、同ビール会社が彼女の顔の入ったバドライトを贈呈したことに端を発する。

著名インフルエンサーである彼女がそのことをSNSで発信し宣伝に努めると、一斉にバドライトに対する過激な不買運動が起こってしまったのだ。

バドライトはそもそも保守派の男性を中心とした人々に購入者が多く、トランスジェンダーの彼女が宣伝を行うこと自体が彼らにとっては許されざる行為で、炎上は当然だった。

同社の醸造工場への爆破予告もあり、ビールの売り上げがおよそ30%急落、14億ドルの損失を出したとされ、メキシコのモデロ社にビールの販売本数を抜かれてトップセラーの地位を手放す事態へと発展してしまう。

今回の舞台ではこのバドライト騒動に至るまでの彼女の生い立ちを振り返り、バイデン前大統領と会談しトランスジェンダーへの理解を得るなどの功績を本人が語っていく。

保守派の人々や過激派から大バッシングを受けた彼女だからか、劇場に入る際のセキュリティも厳しい。

299席のオフ・ブロードウェイの小劇場にも拘わらず、荷物検査から金属探知機に至るまで、ブロードウェイの大劇場よりも徹底しているのだ。

とはいえ、客席に入るとディラン・マルバニー本人が白い羽を広げた天使の衣装を身に纏い観客に声をかけ歓迎し、写真撮影などに応じていくため親近感がすぐに湧いてくる。

開演時間になると、そんな彼女がステージに上がり厳格なカトリック系の保守的な家庭に生まれ性的マイノリティであることをカミングアウトできなかった苦しみ、大学卒業後にミュージカルに出演するようになった過去を振り返っていく。

彼女はこれまでにプロとしてミュージカル『ブック・オブ・モルモン』のツアー公演、『next to normal』や『春のめざめ』の地方公演に出演してきただけに、合計6曲のミュージカルナンバーも無難にこなしていく。

最初に歌われる作品名を冠したタイトル曲を作詞・作曲したのはミュージカル『SIX』のトビー・マーロウとルーシー・モス。

他にもミュージカル『きみに読む物語』のイングリッド・マイケルソンや、映画『モアナと伝説の海2』のアビゲイル・バーロウがオリジナル楽曲を提供する豪華ぶりだ。

バッグや香水瓶、メイク道具などが陳列され、ピンクやパープルに照らされるクローゼットのような舞台装置の中には3台のモニターが埋め込まれ、ここに彼女の人生を語るうえで欠かせない人物たちの画像や映像などが流されていく。

アラン・カミングや、マリル・ヘナー、そしてクリス・コルファーといった舞台や映画、そしてTVで活躍する俳優たちがこれらの映像で活躍するという趣向だ。

厳格な家族との複雑な関係、バドワイザー騒動と彼女にとって受難の道となった事柄も自虐ネタとして、終始明るく伝えていくのは潔い。

そしてフィナーレを締めくくるミュージカルナンバーでは、“私は女性だけれど、ゲイの男性の体に宿され、男性として生まれてしまった”のだと結論付け、その歌詞を繰り返し高らかに歌い、観客にも賛同するよう促し75分のステージが終わる。

プロデューサーに名を連ねるのは、今年のトニー賞でミュージカル・リバイバル作品賞を受賞した『サンセット大通り』など、数々の大作を手掛けた面々。

短期間の公演だが、もしかするとその先のことも考慮しているのかもしれない。(10/4/2025)

Lucille Lortel Theatre
121 Christopher St, New York, NY 10014
上演時間:75分(休憩なし)
公演期間:9月20日~10月19日

舞台セット:7
衣装:7
照明:6
キャスティング:7
総合:7
@ Andy Henderson
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