The Music Man ザ・ミュージックマン

The Music Man
ザ・ミュージックマン

ミュージカル ブロードウェイ
The Music Man
ザ・ミュージックマン
The Music Man ザ・ミュージックマン

映画『Xメンシリーズ』のウルヴァリン役や、『グレイテスト・ショーマン』で アメリカだけならず日本でもファンの多いヒュー・ジャックマンが、ブロードウェイに戻ってきて話題になっている。彼が演ずるのはこのミュージカル『The Music Man』の詐欺師、ハロルド・ヒルだ。ハロルドは、アイオワ州の田舎町リバーシティにやってきて、町の少年少女たちだけで音楽隊を結成する、と約束し、その魅力的な外見とエネルギッシュな話術で、楽器やユニフォームを両親に売りつけようとたくらんでいるのだった。

あらすじ&コメント

演出は4回トニー賞を受賞しているジェリー・ザックス。脚本/作詞/作曲はメレディス・ウィルソン。彼はすでに亡くなっているが、自分を育ててくれた故郷アイオワ州への感謝の気持ちを込めて同作品を創作したと言われている。それは彼の描く簡素だが純真な町の人々から感じることができる。メレディスは、後にジュリアード音楽院となった音楽芸術研究所でフルート奏者として勉強し、ニューヨーク・フィルのメンバーだったこともある。その後サンフランシスコに移り住み、ラジオ局の音楽コンサート監督や音楽ディレクターを務めていたが、1928年にラジオのバラエティーショーを制作したところ、これがヒットして第一線のアーティストとして知られるようになる。チャーリー・チャップリンの『独裁者』(1940年)の映画音楽も彼が担当している。

今回の『ザ・ミュージックマン 』は、1957年にブロードウェイで初演され、成功を収めてからの3度目のリバイバルとなる。なお1962年と2003年の2回、映画化もされている。

ヒュー・ジャックマンの相手役は、『モダン・ミリー』『エニシング・ゴーズ』でトニー賞主演女優賞を受賞しているミュージカルコメディーのスーパースター、サットン・フォスター。ボーイッシュで力強いキャラクターで輝いている彼女とヒュー・ジャックマンとの掛け合いも素晴らしい。また42人という大人数のキャストにも圧倒されるが、中でも10人近くいる子役の可愛さには思わず頬が緩む。バレエ技術をしっかりと身につけていたアンサンブルキャストのダンスも、ウォーレン・カーライルの振付にも助けられ見甲斐があった。制作にあたってはポリティカル・コレクトについての米国の現状に合わせ、歌を削除したり歌詞を変えたりしているが、中には神経質になり過ぎていると感じる修正もあった。不自由な世の中になったと言う気がしないでもない。

ニューヨークタイムズ紙は『ザ・ミュージックマン』に色々と厳しい評価を与えていたが連日満席。『ハミルトン』など他のあらゆる演目を凌いで、最高値チケットの状態が続いている。先週は338万ドルの興行収入を記録したが、これはパンデミックによる長期閉鎖から劇場が再開されて以来の最高額で、300万ドル越えは5週連続となる。 ニューヨーク・タイムズも筋金入りのヒュー・ジャックマン・ファンには敵わないというわけだろう。

劇場では私の周りもそんなファンでいっぱいだった。彼らの興奮に飲み込まれて、何故かこっちもワクワクしてしまった。しかし、楽しみにしていた大詰めで行われる見所のサットンとヒューによるタップダンス・デュエットは、彼らがいつまでも音楽に合わせて手を叩くので、全く聴こえないままに終わってしまった。ショック。
05/17/2022

Winter Garden Theater
1634 Broadway, New York, NY
公演時間:2時間25分(休憩一回)
公演期間:2022年2月10日(プレビュー2021年12月20日)〜

舞台セット:7
作詞作曲:9
振り付け:8
衣装:8
照明:7
総合:8
Photo by Julieta Cervantes

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