スイスの作家フリードリヒ・デュレンマットの名作「貴婦人の訪問」のミュージカル版。
(注:ネタバレあり)
億万長者の未亡人となったクレアが、財政破綻寸前の故郷、ギュレン市に戻ってくる。市民は彼女の利運にあやかって、この街が復興するのではないか、と希望を持つ。そして、クレアが多額の援助金と引き換えに市民に要求したものは、昔の恋人だったアントンの死であった。アントンは若き頃、美しいが貧しかったクレアに激しく恋したが、その身の上が卑しいため、身ごもったクレアを裏切って、自分の働くお店のオーナーの娘と結婚してしまったのだ。今はその店も、その街の他の商業と同じく失敗し、家族はまずしい生活を送っている。最初は、「お金と引き換えにそんな殺人などできない」と主張していた市民だったが、クレアから借りたお金で高価な靴を買うなどの裕福な生活をチラッと味わって行くうちに、アントンの死を密かに願う様になる。アントンも市民の気持ちの変化を感じ取り、いつ殺されるのか、と怯えていた。しかし、クレアと話しながら、若い頃のクレアとの激しく優しい恋を想い出していくうちに、彼女を残酷に捨てた罪の深さや、 市民全員に背を向けられ、生きていても誰にも役に立たない自分になってしまったことを知り、その命を市民裁判にあずける。アントンの死体が眠るお棺を前に 「やっとあなたは私のもの」と呟くクレア。そして、最後に膨大な大金を市民に残して去って行く。

上演時間:1時間30分(休憩なし)
シアター情報:
Lyceum Theatre
149 West 45th Street
New York, New York 10036
写真©Press Art
舞台セット ★★★★☆
作詞作曲★★★★☆
振り付け★★★☆☆
衣装★★★☆☆
照明★★★★★
The Visit(上演終了) 作品レビュー
スイスの作家フリードリヒ・デュレンマットの名作戯曲「貴婦人の訪問」のミュージカル版でブロードウェイ初演。