Two Strangers (Carry a Cake Across New York) 他人の二人(ニューヨークの街なかケーキを運ぶ)

Two Strangers (Carry a Cake Across New York)
他人の二人(ニューヨークの街なかケーキを運ぶ)

ミュージカル ブロードウェイ
Two Strangers (Carry a Cake Across New York)
他人の二人(ニューヨークの街なかケーキを運ぶ)
Two Strangers (Carry a Cake Across New York) 他人の二人(ニューヨークの街なかケーキを運ぶ)

2024年にウエストエンドで高評価を得、2025年にブロードウェイにやって来たロマンティック・コメディ・ミュージカルである。 主人公はイギリスの母子家庭に育った明るくややおめでたい位の20代半ばの青年 ダグル。彼は会ったことのない父の再婚式 に招待され、初めてニューヨークを訪れる。空港へ迎えに来るのは、新婦の妹でニューヨーク育ちの ロビンだ。 ブロードウェイには珍しくたった二人のキャストによるミュージカルだが、その分、二人の会話と距離感が濃密に描かれている。偶然の出会いとケーキが導く24時間が、軽やかなロマンスと孤独・つながりといったテーマと交錯し、幅広い観客に届く内容となっている。

物語は二人が空港で会うところから始まる。仕事と雑務に追われ気乗りしないロビンに対し、ダグルは初めてのニューヨークの観光や特別な体験を求めて前のめりだ。 彼がチャイナタウンの安ホテルにチェックインした後、二人は一緒に結婚式用の四段ケーキをブルックリンの店に取りに行くが、その道のりで互いの価値観や過去に触れていく。

脚本・作曲・作詞は、ロンドンでデビュー賞を受けて将来を嘱望される若手のジム・バーンとキット・ビュカンによる。演出・振付は ティム・ジャクソン。彼が振付を担当した『メリー・ウィー・ロール・アロング』はトニー賞作品賞を受賞している。
舞台美術は スートラ・ギルモア。積み上げたスーツケースを中心に据え、ミニマルだがそれ自体が回転してレストランやタクシーの座席に変化する多用途セットだ。多くの町並みを訪れるストーリーを上手く追う巧みな装置でもある。

物語や舞台セットがシンプルで、アンサンブルやダンスがない分、俳優二人の魅力がキーになる作品だ。ダグルを演ずるサム・タッティは、ルックスは普通で、どこにでも居るような青年だが、ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』のウェスト・エンド版を演じて、5年程前まだ22歳の時、オリヴィエ賞「ミュージカル主演男優賞」を受けている。タッティの父親は、彼が10歳のときに家族を置いて去っており、同じく母子家庭で育った設定のダグルに、彼だからこそ出来るのであろう個性と生命を吹き込んでいる。

英国公演のロビン役は ドゥジョナ・ギフト だったが、ブロードウェイ版では クリスティアニ・ピッツ が務める。ピッツは『キングコング』でヒロインを演じ、歌唱も芝居も安定しているが、サム・タッティの個性に押されている感触もある。ロビン役の配役変更は英国と米国の文化背景や言語・演技スタイルの違いに合わせた再構築とも言われるが、単にスケジュール調整の結果という説もある。

ウェストエンドとブロードウェイ、どちらでも好意的評価を得ており、快いロマンティック・コメディとして成功している。洒落た余韻のある二人の会話は大変魅力的で、現代風のミュージカルとして見やすい作りになっている。
一方、一部に「脚本の深みに物足りなさを感じる」という声もある。ダグルと父の対面は無く、ロビンについても祖母との断絶理由が最後まで提示されない。家族の衝突や和解といった、脚本化が難しい人間関係の核心部分には踏み込まず、テーマを掘り下げると言うよりも「軽快さ」とエンタテイメントを優先した脚本となっている。(11/14/2025)

✦ ネタバレあらすじ
ダグルは再婚式で初めて父に会えると胸を躍らせて渡米するが、ロビンは姉から式の準備を押し付けられ疲弊している。二人はブルックリンで1,500ドルの四段ケーキを受け取りに行く。 道中語り合いながら4つの箱を頑張って運ぶが、姉のアパート目前でロビンが最上段の箱を落として台無しにしてしまう。

ダグルはホットドッグを買いに行っている間に、ロビンは姉と話すが、彼女自身はどうも姉の結婚式に招かれていないようだ。その後、今度は姉のストッキングを買いに、また一緒に出かける二人。塞ぎ込んでいる彼女に対し、ダグルはロビンが恋愛アプリで良い男性と繋がれるよう、男の視点から的確なアドバイスする。映画が大好きで映画館のボックスオフィスで働くダグルは、物価の高いニューヨークには2泊3日しか滞在できない。そして明日は結婚式。ニューヨーク の街を自由に楽しめるのは、今夜だけだ。二人はその貴重な晩を、ロビンが預かっていたダグルの父のクレジットカードで豪遊することにする。タキシードとイブニングドレスを買い、飲み食い放題をし、翌朝目覚めると2人は高級ホテルのスイートルームのベッドに一緒に寝ていた。

結婚式に出席するために去ろうとするダグルに、ロビンは「 お父さんには会わない方がいい」と止める。ダグルは反発し、ロビンは口論になった勢いで、彼の父親は信頼すべきでない男で、結婚式招待状はロンドンに秘密の息子がいると 知った姉が お父さんに内緒で招待したことを伝える。また、父親は出張で頻繁にロンドンに行っており、 そのつもりであれば、十分にダグルに会えたことも示唆する。ダグルは驚き失望するが、更に父の浮気相手がロビン本人だったことも理解する。

ロビン は自分のアパートに一人戻る。その日は、彼女の誕生日でもあった。電話には育ての親である祖母からの誕生日祝いのメッセージが入っていた。ロビンはこの2年も 祖母に全く連絡をして いないのだ。

翌日ダグルは式に赴くが、数百人以上いるであろうその賑やかで騒がしい会場の入り口で立ち止まり、結局父と会わぬままそこを立ち去る。そしてロビンを探し回って安い中華料理屋で再会し、小さなケーキとともにプロポーズ。二人は仲直りし、ダグルは父に会わないまま英国へ戻る。

Longacre Theatre
220 West 48th Street, New York, NY

公演期間:2025年11月20日〜
公演時間:2時間15分(休憩1回含む)

舞台セット:8
作詞作曲:7
振り付け:6
衣装:6
照明:8
キャスティング:8
総合:7
@ Matthew Murphy
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