Broadway Square

The Little Prince 星の王子様

フランス人サン=テグジュペリによる「星の王子さま」の舞台化である。 シルク・ド・ソレイユを手がけてきた演出家フランコ・ドラゴーヌと10年間一緒にLe Reveなどの作品を手がけきたというAnne Tournie が演出・振付を担っているので、期待どおりアクロバット、ダンス、歌が融合されたフィジカル・パーフォーマンスの作品に仕上がっていた。また、もう一人の共同演出者Chris Mouron は、歌詞だけではなくナレーターも担当している。

MJ: The Musical MJ:ザ・ミュージカル

キング・オブ・ポップとして全世界のアーティストに大きな影響与えながら50歳にして逝ったマイケル・ジャクソン。今回紹介するのは彼の子供時代からデンジャラス・ワールドツアーまでを描いた伝記物ミュージカル。この作品はジュークボックススタイルをとっている。

SIX シックス

2017年、英国ケンブリッジ大学のエジンバラ・フリンジ・フェスティバル*で学生たちにより演じられたミュージカルが、その後ウェストエンドを皮切りに数々の国際的な公演を経てブロードウェイにやってきた。

Mrs. Doubtfire ミセス・ダウト

1993年にヒットした亡ロビン・ウィリアムズ主演映画で広く知られている『ミセス・ダウト』の舞台化作品で、演出は、トニー賞を8回ノミネートされて4回受賞したベテラン、ジェリー・ザックス。 この作品は2020年3月に開演したのだが、たった3回でロックダウンで公演中止。昨年12月に9か月ぶりに再オープンしたと思ったら今度はオミクロン株の流行で客足が遠のいてしまった。現在1月10日から4月9日までの休演予定と公表している。

American Utopia アメリカン・ユートピア

かの有名なニューウェーブのロックバンド、トーキング・ヘッズを率いるデイビッド・バーンのコンサートが、米国ツアーを経てブロードウェイにやってきた。ギターリストであり、シンガーであり、作詞、作曲もこなすデイビッド・バーンは、グラミー賞、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞を獲得したうえに、ロックの殿堂入りも果たしているが、ブロードウェイで「特別トニー賞」に輝いた。このコンサート形式のショーには、ヒット曲「バーニング・ダウン・ザ・ハウス 」や「ワンス・イン・ア・ライフタイム」など、数々の名曲が盛り沢山だ。

A Girl from North Country 北国から来た女の子

ロンドンで高評価を得たボブ・ディランのジュークボックス・ミュージカルが、ブロードウェイにやってきた。 ボブ・ディランは米国ミネソタ州の田舎町に生まれたユダヤ系アメリカ人で、彼の天才的な歌詞と独特な歌声は、1962年のデビュー以来若者の心を魅了し続けている。グラミー賞、アカデミー賞をはじめとして、大統領自由勲章、ピューリッツァー賞特別賞、そしてミュージシャンとして初めてノーベル文学賞も受賞している。

Company カンパニー

アカデミー賞1回、トニー賞8回、グラミー賞8回、ピューリッツァー賞1回、ローレンス・オリヴィエ賞1回、そして大統領自由勲章を受章したミュージカルの大御所ステファン・ソンドハイムが、昨年2021年11月26日、その輝かしい人生の幕を閉じた。作詞作曲家としてミュージカル界に大変革を起こしたニューヨーク生まれのこの巨匠は、晩年の住まいだったコネクティカット州の家で、近くの友人達と感謝祭のお祝いを楽しんだ翌日、息を引き取った。享年91歳であった。

Cambodian Rock Band カンボジアン・ロック・バンド

本作品は、1975年から1979年までの4年間で100万~170万人もの死者を出したと言われる、カンボジアの悲劇を描いたミュージカルだ。1975年初頭、共産主義の一派であったクメール・ルージュ運動は好意的に海外に紹介された為、自由で平和な国が造られるならばと各国から応援に駆け付けた知識人は少なくなかった。しかし蓋を開けたらとんでもなかった。ポルポト独裁政権は、強制的に都市部の住民を農村部へ移動し、粛清や拷問、医学実験を組織的、効率的に行ない、多くの国民が死亡または行方不明となっていく。たとえば強制収容所S-21には、3年弱の間に14,000~20,000人が収容されたが、最後に生き残ったのは僅か7人だけだったと言われている。その悲劇から40年が経ち、事件そのものを知らないか、あるいは記憶のかなたに置いてきた方も多いだろう。だがこの機会に、アジアで起きたポルポト率いるクメールルージュの大虐殺...[Read More]

Our Dear Dead Drug Lord 私たちの親愛なる故麻薬王

オフ・ブロードウェイのWomen’s Project Theater ( 女性プロジェクト・シアター)は、女性が創作した作品を多く取り上げることで知られている。今回紹介するダーク・コメディ『Our Dear Dead Drug Lord 』も女性が脚本、演出をしていて、主演する高校生4人も女性だ。この作品は評判を呼び、3回も上演期間が延長された。

West Side Story ウエスト・サイド物語

1957年当時のミュージカルと言えば、楽しい気分で素直に笑えるエンタテイメントだった。そこに社会的テーマを扱って登場したのが、後にブロードウェイの金字塔となる『ウェスト・サイド物語』だ。そこでは殺害の加害者と被害者、またその仲間たちの相克が繰り広げられ、当時の常識では考えられない深刻な問題提起が含まれていた。果たして観客はそんなミュージカルを受け入れるのか。ワシントンDCでのトライアルによる初演が粛々と進む中、静まり返った観客の様子を緊張して窺う4人の制作者たちがいた。今では巨匠となったアーサー・ローレンツ(脚本)、レナード・バーンスタイン(作曲)、ジェローム・ロビンズ(振り付け)、スチーブン・ソンドハイム(作詞)である。 彼らには観客が戸惑っているように見えたに違いない。だがしかし、今では誰もが知っているナンバー「アメリカ」が終わるやいなや一斉に劇場は歓声に包まれたのだった。翌日のワシン...[Read More]

復活を期して休むブロードウェイ 〜コロナ感染の中、ニューヨークの行方〜

コロナ感染の状況は毎日変化する。新型コロナウイルスの世界的な感染爆発により、ブロードウェイは3月12日から約1ヶ月の全公演が停止を発表したが、4月8日、それを更に約2ヶ月先の6月7日までに延期した 。 そこでこの影響の大きさを解説する前に、少し振り返って今回のブロードウェイでの動きをなぞってみる。 ニューヨーク州のクオモ知事は、高齢者と旅行者が多いブロードウェイの観客に感染が拡大することを懸念し、3月12日(木)の午後、翌日からの500名以上の集会禁止を発表した。この12日がマチネ公演だった『ムーランルージュ!』のキャストに、数日前より風邪の症状を示す者がいたこともあり、事態を重くみていたブロードウェイ運営側は、翌日を待たずに全公演停止を決めた。 当時ブロードウェイで上演されていたのは、31の演劇とミュージカル。これらがすべて公演停止となったわけだが、準備中の16作品も中止となった。うち既...[Read More]

A Soldier’s Play ソルジャーズ・プレイ

1982年にピューリッツァー戯曲部門賞を受賞した『A Soldier’s Play』が、ブロードウェイでは初めて演じられている。 作品の舞台は1944年の米国南部の陸軍基地で、黒人軍曹のウォーターズが殺害され、遺体で発見されたのが起点となっている。その為この基地に派遣されてきたのは、特別捜査官ダヴェンポート大尉だった。大尉という階級をもつ黒人は、当時では珍しかった為、部隊内の白人達は冷やかに彼に接する。それに対して黒人兵は、白人によるリンチであるとの確信を彼に訴える。ダヴェンポート大尉は、両者の間で冷静に捜査を進めていくのだった。

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