Broadway Square

Hold on to Me, Darling訳: 手を離さないで、ダーリン

アダム・ドライバーが、カントリーソングのスターを演じる。彼は『スター・ウォーズ』続編三部作(2015-2019)のカイロ・レン役で広く知られるようになった後、『ブラック・クランズマン』(2018)や、『マリッジ・ストーリー』(2019)でアカデミー賞にノミネートされており、世界中にファンがいる。俳優になる前は、アメリカ海兵隊のなかでも頑丈で頭脳明晰な隊員で構成された部隊にいたらしい。たしかに身長190㎝の立派な体格を見ているとむべなるかな、となろう。

The Beacon 訳:灯台の光

『The Beacon』は、アイルランドの劇作家ナンシー・ハリスによって書かれ、2019年ダブリン演劇祭の一環として初演された。今回は、ニューヨークのオフ・ブロードウェイにあるアイリッシュ・レパートリー・シアター(訳:アイルランド作品劇場)で公演されている。この劇場は、後に賞を受けることになるような高い品質の作品を多く生み出してきている。ストーリーはアイルランドのある島を舞台に、有名な女流画家ベイヴと夫の死に纏わる人々の疑惑を描いている。ベイブを演じるのは、ケイト・マルグルー。テレビドラマ『ライアンの希望』(1975-1977)でメアリー・ライアン役を演じて知られている。『新スタートレック/ Voyager』のキャプテン役も務めた実力派の女優だ。

Gypsyジプシー

アーサー・ローレンツ脚本、ジューリー・スタイン作曲、スティーブン・ソンドハイム作詞という錚々 (そうそう) たる名士達によるミュージカル『ジプシー』が、1959年の初演から数えると6回目となるブロードウェイでのリバイバル迎えた。この物語は、実存のバーレスク・エンターテイナー*、ジプシー・ローズ・リー(1969年没)に焦点を当てつつ、幼い彼女が成長し独り立ちできるように厳しく、かつ支配的に教育するステージ・ママ、ローズ・ホヴィックをも見事に描ききった作品となっている。

Maybe Happy Ending メイビー、ハッピーエンディング(多分ハッピーエンド)

2016年に韓国ソウルで初演されたミュージカルで、批評家からの絶賛に勢いを得て、日本の日比谷シアタークリエ、米国アトランタのアライアンス・シアターで上演され、満を持して2024年、ブロードウェイにやってきた。脚本と作曲はアメリカ人ウィル・アロンソン、また脚本を共同執筆したヒュー・パークは視覚芸術を学ぶために韓国から渡米してきたヒュー・パークで、作詞も彼による。二人はニューヨーク大学で出会ったのだが、今回、若者の間で人気の演出家マイケル・アーデンと共に、このミュージカルを作り上げた。ちなみにマイケル・アーデンは『春のめざめ』や『ワンス・オン・ディス・アイランド』などの作品を手掛けている。

The Blood Quilt 血のキルト

 ピューリッツアー賞に輝き、ミュージカル『ティナ』の脚本を書いたことでも知られる劇作家カトリ・ホールによる新作戯曲が『ブラッド・キルト』。 劇場はリンカーンセンターの地下にあり、ミュージカル『コンタクト』が初演されたことでも知られる客席数299のオフ・ブロードウェイの名門ミッツィ・E・ニューハウス。弧を描くようにステージを見下ろす形で配置された客席が特徴となる。

The Counterカウンター

不眠症のポールは寒い冬の早朝、コーヒーを飲みにダイナー(小さな簡易食堂)にやってくる。ニューヨーク州北部のまだ暗さが残るその時間には、いつもウェイトレスのケイティしかいない。狭いダイナーの透かし窓には街を照らす灯火が映り、たまに車のヘッドライトが天井に差し込むが物音はしない。静かだ。夜明け前の時間がゆっくり過ぎていく。カウンターの向こうとこちらには主人公の二人。この二人の会話が、物語のたて糸となる。

Mama, I’m A Big Girl Now ママ、アイム・ア・ビッグ・ガール・ナウ

ミュージカル『ヘアスプレー』の初演でティーンエイジャーの役として共演した女優3人による女子会のようなステージが、オフ・ブロードウェイで上演中の『ママ、アイム・ア・ビッグ・ガール・ナウ』。劇中で歌われる楽曲名をタイトルに冠したこの作品で久々に同じ舞台に立つ3人が自ら脚本と演出を担い、歌やトークで当時を振り返り、その後のキャリアや友好関係を楽しく紐解いていく内容となっている。

Drag: The Musical ドラァグ:ザ・ミュージカル

人気リアリティ番組『ル・ポールのドラァグ・レース』は、ドラァグクイーンの存在とその文化を幅広く知らしめた。同番組でその名を馳せたアラスカ・サンダーファックが作詞・作曲・脚本・主演を担うのが、この秋にオフ・ブロードウェイで開幕した『ドラァグ:ザ・ミュージカル』。あのライザ・ミネリがプロデューサーのひとりでもある新作ミュージカルだ。 パンデミック直後にコンセプト・アルバムをリリース、その後のワークショップを経て、今回のオフ・ブロードウェイ初演に至った。冒頭はライザ・ミネリが吹き込んだイントロの録音が流れ物語が始まる。

Yellow Face黄色の顔

アジア系アメリカ人のアイデンティティと人種問題に切り込む大胆な姿勢が高い評価を受け、2008年にピューリッツァー賞の最終候補となった戯曲のリバイバルである。ニューヨーク・パブリック・シアターでオフ・ブロードウェイ初上演され、その後各地を廻ってようやくブロードウェイにやって来た。

SUNSET BLVD. サンセット大通り

ブロードウェイでは7年ぶりで、2度目のリバイバルとなるアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲の『サンセット大通り』。今回は、ウエストエンドで上演され、2024年のローレンス・オリビエ賞でリバイバル作品賞も含め同年最多の7部門を受賞したプロダクションの引っ越し公演となる。作品を解体し新たな解釈を加えながら再構築していくことで有名なジェイミー・ロイドの斬新な演出によるリバイバルは、ブロードウェイでも1週間の興行収入が150万ドル超となる大ヒット作となった。

The Roommate ルームメート

異なった環境で生活してきた全く違う性格の二人の中年女性が、オハイオ州の田舎でルームメートとなるところから物語は始まる。彼らの似ているのは、今までの生き方を変えたいと願っているところだ。二人の人生が、そのとある一軒家で交差し、やがて離れていく。その居間で繰りひろげられる大女優二人の演技を、1時間40分間、じっくりと観ていただきたい。

The Big Gay Jamboreeビッグ・ゲイ・ジャンボリー

大ヒットした映画『バービー』でタイトルロールを演じたハリウッド女優のマーゴット・ロビーが惚れ込み、プロデューサーとして名乗りを挙げたことで初演が実現したのがミュージカル『ビッグ・ゲイ・ジャンボリー』。“ゲイの大祭典”などと訳せるタイトルからも自ずと察しがつくように、徹底して笑いを提供することに拘ったオフ・ブロードウェイで注目されている新作だ。

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