Broadway Square

Camelot キャメロット

作詞家アラン・ジェイ・ラーナーと作曲家フレデリック・ロウは、『マイ・フェア・レディ』や『恋の手ほどき』などを制作した名コンビ。18年間に7つのミュージカルを作り、彼等が逝って久しい今でも「ラーナー&ロウ」と親しみを込めて呼ばれている。その彼らが、アーサー王の伝説を元に書かれたT.H.ホワイトの「永遠の王」にひらめきを感じ、制作したのが『キャメロット』だ。『マイ・フェア・レディ』の大成功から4年を経た1960年、ジュリー・アンドリュースとリチャード・バートンの豪華キャストでブロードウェイで初演されたのがオリジナルとなる。トニー賞を4部門で受賞し、2年半公演され続けた真の正統派伝統ミュージカルである。が、今回の脚本は、映画『ア・フュー・グッドメン (A Few Good Men)』やテレビ・シリーズ『ザ・ホワイトハウス (The West Wing)』などを書いたアーロン・ソーキンが、現代風に...[Read More]

Parade パレード

19世紀初頭のレオ・フランク事件を元とした社会派ミュージカルで、1998年に発表されトニー賞 (最優秀脚本賞、最優秀楽曲賞)を受賞している。

The Best We Could〜 a family tragedy〜 訳:精一杯やった〜ある家族の惨事〜

新人脚本家エミリー・フェルドマンの戯曲。米国における熟年層、コンプライアンス、大人になりきれない若者、家庭内の世代の壁といった諸問題に正面から取り組んでいる。観客はサブタイトル「〜ある家族の惨事〜」を見て心の準備をしていた筈だが、始まってみるとコメディータッチの作風によって終始笑いに引き込まれ、楽しく時を過ごしていたようだ。しかし最終盤で身につまされる結末に接し、種々な思いに襲われたのだろう。閉演後のロビーは気持ちを明かし合う観客でいっぱいだった。

Fat Ham ファット・ハム

6月には、トニー賞授賞式をもってブロードウェイはシーズンを締めくくり、今度はオフ・ブロードウェイの小劇場で様々な舞台が幕を開き、ニューヨーク演劇界の夏が本格化する。やっと劇場の感染対策の規制は緩和され、ワクチン接種証明の提示やマスク着用義務の撤廃も進んで、パンデミック前の状態に近い夏を久々に迎えている。そこで最初に注目を集めたのは、アフリカ系アメリカ人の一家を描いた作品だ。

Endgame エンドゲーム

『ゴドーを待ちながら』で知られるノーベル賞作家サミュエル・ベケットによる1957年の不条理劇『エンドゲーム』が、オフ・ブロードウェイで演じられ賞賛された。題目の『エンドゲーム』は、チェス用語で使われる『終盤戦』のことらしい。

A Beautiful Noise ビューティフル・ノイズ

1966年のデビューから今世紀初頭にかけて多くのヒット曲を生み出したニール・ダイアモンドの伝記ミュージカルである。1億3千万枚という記録的なレコード売上枚数を誇り、ビルボードのコンテンポラリー・チャート部門ベスト10入りが38曲、ソングライターとして名誉殿堂入り、ケネディーセンター名誉賞、グラミー賞特別功労賞生涯業績賞など数々の賞を受賞したアーティストだ。演目名『A Beautiful Noise』は、1976年のアルバム「Beautiful Noise」からとっている。

The Picture From Home ピクチャー・フロム・ホーム

前衛写真家ラリー・サルタンは、週末に実家を訪れ、老いてゆく両親を何年にもわたって撮り続けた。そして1989年、短い文章をその写真に添えて、子供の頃の家族の八ミリ映像と一緒にMOMA(ニューヨーク近代美術館)で個展を開く。その展覧会は評判となり、そこを出発点に彼の名は知られて行くようになる。既に彼は亡くなっているが、今でも世界中に多くのファンがいる。

Merrily We Roll Along 愉快に転がろう

ミュージカル界の巨匠ソンドハイムの『Merrily We Roll Along』(愉快に転がろう)は、不思議な歌の魅力なのだろうか、何度もリバイバルされてきた。しかしその度に失敗を繰り返し、彼の作品中一番の失敗作と言われてきた。なぜ不評だったのか、なぞ解きをするドキュメンタリーまで制作されたほどだ。ところが今回(2022年秋)のオフ・ブロードウェイ・バージョンは、切符が全く手に入らないほどの評判となった。脚本はジョージ・ファース。彼の書いたソンドハイムのミュージカル『カンパニー』は、昨年(2022年)、トニー賞を受賞している。

Some Like It Hot お熱いのがお好き

『Some Like It Hot  (お熱いのがお好き)』は半世紀以上前にビリー・ワイルダーが監督したアメリカのコメディ映画だが、今回の舞台は、その2度目のミュージカルとなる。映画でマリリン・モンローが演じたヒロイン、シュガー役を、今回のミュ-ジカルでは黒人女優アドリアナ・ヒックスが演じている。彼女は2021年のブロードウェイのミュージカル『SIX』で6人の王妃のうちの一人を演じ、また2016年の『カラー・パープル』ではセリー役を演じている。が、ブロードウェイで一人ヒロインとなるのは今回が初めてだ。脚本はマスユー・ローペズとアンバー・ラフィン。映画とは全く違った味わいとなっている。

& Juliet アンド・ジュリエット

シェークスピアの4大悲劇の1つ「ロミオとジュリエット」のお話で、もしジュリエットがあのストーリーの中で「ロミオが死んでも自分は死なない」という決断をしていたらどうなっていたか、を今の時代背景に沿ってフェミニズム的視点から描く新作のコメディー・ミュージカルだ。ジューク・ボックス・スタイルで、スウェーデン人のソング・ライターマックス・マーティンによるヒット曲によってストーリーが展開していく。 マックス・マーティンはブリトニー・スピアーズやセリーヌ・ディオンなどの多くのアーティストのヒット曲を出し、アメリカのシングル版ヒットチャートの1位に載った回数がポール・マッカートニーやジョン・レノンに続く2位という大物だ。 マーティン氏が同作品のプロデューサーでもあるだけあって、全ての曲がピッタリと絶妙にストーリーに嵌っていてデューク・ボックス・スタイルにありがちのチグハグ感が全くない。私は多くの20...[Read More]

KPOP

2017年秋オフ・ブロードウェイで演じられ、奇抜さとエッジの効きで評判をさらった『KPOP』が本作品の元となっている。当時その高評価を梃子(てこ)に、地方公演を経てオン・ブロードウェイへ進出する予定だったのが、時期が悪く、コロナ禍で停滞を余儀なくされていた。ところが昨今のコロナの鎮静化を受け、2022年11月からブロードウェイでの公演が始まった。作品名のKPOPは、日本ではK-POPとして呼び倣われていて、ダンスと歌謡がミックスされた韓国ポップ界の1ジャンルのことを指している(Korean Pop)。世界的にはBTSやブラック・ピンクといったグループが有名だが、今回のミュージカル『KPOP』は切符の売れ行きが伸びず、プレビュー後二週間をちょっと過ぎた公演17回目にあたる12月11日には、早々に閉演となった。

Kimberly Akimbo キンバリー・アキンボ

多くの劇評家から絶賛された作品が、先月11月にブロードウェイでオープンした。NYタイムズ紙は「劇評家の推奨作品」と書き、タイムアウト誌は「2021年の新作ミュージカルで一番の作品だ」と褒め称えた。本作品『キンバリー・アキンボ』は、おそらく次回のトニー賞に名前が挙がるだろう。そんなわけで、かつてこのブログのオフ・セクションで紹介してはいるが、再度紹介したい。

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